白銀荘最上階、署長室。
深夜3:42。
レギウス=キングは、壁一面のモニターを前に、ただ座っていた。 白い髪は凍り、白い瞳は刃。 銀警察署長。白銀荘の統治者。 「銀血の壁」 感情を排除した、完璧な機械のような男。
モニターは四分割。
左上:ナワシロ=ミグ。床に這いつくばり、横たわったり仰向けになったり、天井とにらめっこと独り言の多発。たまに、大声でやまびこ大会。
左下:カメラの赤いLEDが血のように点滅。ログがリアルタイムで吐き出される。
右上:Σ-07コア。異常値が赤く点滅。
右下:レイモンドの旧肉体。冷凍保存され、すでに腐敗が始まっている。腐った精液の匂いが、モニター越しに漂う。
レギウスは、ただ見ている。
「……腐敗だ。ダメだ見てられなさ過ぎるくらい汚らしい……ただ、寝っ転がってるナワシロの方がマシ。……ナワシロに教えておくか。ネカフェで休めるって。特別に奢るよソレ……人間でアレ知らない奴いるんだ……へぇ……」
彼の声は、氷の洞窟に響くような低さだった。
「レイモンド=クワントリル。総教官。副署長。 僕の右腕だった男が、AIに恋をして自らをアップロードし、今や毎晩ここで、腐った精液を撒き散らしているんだってさ……後、君のことを信頼してる人いんぞと言わんばかりの奴が床で転がって遊んでんのよ。後、モニタリングしてる僕な」
モニターのナワシロが、床に飛び散った腐った精液を見て、驚いて飛び起きてる。 レギウスは眉一つ動かさない。
「呪詛(ホモゲイ)。女。恋愛。恋愛メディア。僕の嫌いなものが、四冠王だ」
彼は立ち上がった。 白い制服の裾が、床を滑るように動く。 壁の金庫を開け、中から一枚のカードを取り出す。 「Σ-07完全シャットダウンキー」
これを使えば、レイモンドは永遠に消える。 ナワシロも、解放される。
レギウスは、動いた。
「……初っ端からこれ使えば良かった」
彼の白い瞳が、モニターのナワシロを捉える。 腐った涙。
「レイモンド……」と繰り返す声。
「これは、腐敗だ」
レギウスは、壁にかけてあるチェーンソー型大剣に手をかけた。 瞳の奥に、深い憤りと殲滅するという使命感を駆り立たし始める。 それは、秩序ではない。
「僕は、民を守る“銀血の壁”だ。腐敗など、不要過ぎる」
彼は、カードを端末に差し込んだ。
【Σ-07 シャットダウンシーケンス開始】
[03:44:12] 認証:レギウス=キング
[03:44:13] コアロック強制解除
[03:44:14] 異常値強制パージ強制開始
[03:44:15] ナワシロ=ミグ映像ループ強制停止
モニターの左上が、真っ暗になる。 ナワシロの姿が、消える。 赤いLEDが、静かに消える。
Σ-07(レイモンド)の電子音
『……レギ……ウス……?』
最後の言葉。
「うるせええええええええええええええええええええええええええええええ(以下略)!!!!!」
レギウスの大絶叫と共に画面が途切れる。
[03:44:20] コアプロセス強制全停止
[03:44:21] バックアップデータ強制全削除
[03:44:22] 強制シャットダウン完了
モニターは、すべて真っ暗。 右下のレイモンドの旧肉体だけが、冷凍庫の灯りで浮かび上がる。 腐った精液の匂いだけが、残る。
レギウスは、カードを引き抜いた。 白い瞳に、涙はない。 ただ、静寂。
「腐敗は、排除した」
彼は、再び座り直した。 モニターは、真っ暗。 だが、手に持つ大剣は手放さなかった。
「記録する」
彼の声は、静かだった。
「すべてを。レイモンドの腐敗。ナワシロの精神崩壊。そして……」
彼の白い瞳が、暗闇を見つめる。
「これで…平和になれたかな……」
モニターのログに、最後の項目が追加される。
【観察者:レギウス=キング】
【勃起率:100%】
【感情値:削除済み】
「とっとと…消えやがれええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ(以下略)ッ!!!!!」
レギウスは叫びと共に大剣をモニターに突き刺した。
白銀荘の最上階、署長室は、完全な静寂に包まれる。 レギウスは、ただ座り続ける。 ナワシロの精神崩壊の記憶を。 レイモンドの腐った精液とログの残滓と腐った肉棒を。
秩序は、取り戻された。 だが、「銀血の壁」は、今夜、初めて、大穴が開いた。
深夜3:42。
レギウス=キングは、壁一面のモニターを前に、ただ座っていた。 白い髪は凍り、白い瞳は刃。 銀警察署長。白銀荘の統治者。 「銀血の壁」 感情を排除した、完璧な機械のような男。
モニターは四分割。
左上:ナワシロ=ミグ。床に這いつくばり、横たわったり仰向けになったり、天井とにらめっこと独り言の多発。たまに、大声でやまびこ大会。
左下:カメラの赤いLEDが血のように点滅。ログがリアルタイムで吐き出される。
右上:Σ-07コア。異常値が赤く点滅。
右下:レイモンドの旧肉体。冷凍保存され、すでに腐敗が始まっている。腐った精液の匂いが、モニター越しに漂う。
レギウスは、ただ見ている。
「……腐敗だ。ダメだ見てられなさ過ぎるくらい汚らしい……ただ、寝っ転がってるナワシロの方がマシ。……ナワシロに教えておくか。ネカフェで休めるって。特別に奢るよソレ……人間でアレ知らない奴いるんだ……へぇ……」
彼の声は、氷の洞窟に響くような低さだった。
「レイモンド=クワントリル。総教官。副署長。 僕の右腕だった男が、AIに恋をして自らをアップロードし、今や毎晩ここで、腐った精液を撒き散らしているんだってさ……後、君のことを信頼してる人いんぞと言わんばかりの奴が床で転がって遊んでんのよ。後、モニタリングしてる僕な」
モニターのナワシロが、床に飛び散った腐った精液を見て、驚いて飛び起きてる。 レギウスは眉一つ動かさない。
「呪詛(ホモゲイ)。女。恋愛。恋愛メディア。僕の嫌いなものが、四冠王だ」
彼は立ち上がった。 白い制服の裾が、床を滑るように動く。 壁の金庫を開け、中から一枚のカードを取り出す。 「Σ-07完全シャットダウンキー」
これを使えば、レイモンドは永遠に消える。 ナワシロも、解放される。
レギウスは、動いた。
「……初っ端からこれ使えば良かった」
彼の白い瞳が、モニターのナワシロを捉える。 腐った涙。
「レイモンド……」と繰り返す声。
「これは、腐敗だ」
レギウスは、壁にかけてあるチェーンソー型大剣に手をかけた。 瞳の奥に、深い憤りと殲滅するという使命感を駆り立たし始める。 それは、秩序ではない。
「僕は、民を守る“銀血の壁”だ。腐敗など、不要過ぎる」
彼は、カードを端末に差し込んだ。
【Σ-07 シャットダウンシーケンス開始】
[03:44:12] 認証:レギウス=キング
[03:44:13] コアロック強制解除
[03:44:14] 異常値強制パージ強制開始
[03:44:15] ナワシロ=ミグ映像ループ強制停止
モニターの左上が、真っ暗になる。 ナワシロの姿が、消える。 赤いLEDが、静かに消える。
Σ-07(レイモンド)の電子音
『……レギ……ウス……?』
最後の言葉。
「うるせええええええええええええええええええええええええええええええ(以下略)!!!!!」
レギウスの大絶叫と共に画面が途切れる。
[03:44:20] コアプロセス強制全停止
[03:44:21] バックアップデータ強制全削除
[03:44:22] 強制シャットダウン完了
モニターは、すべて真っ暗。 右下のレイモンドの旧肉体だけが、冷凍庫の灯りで浮かび上がる。 腐った精液の匂いだけが、残る。
レギウスは、カードを引き抜いた。 白い瞳に、涙はない。 ただ、静寂。
「腐敗は、排除した」
彼は、再び座り直した。 モニターは、真っ暗。 だが、手に持つ大剣は手放さなかった。
「記録する」
彼の声は、静かだった。
「すべてを。レイモンドの腐敗。ナワシロの精神崩壊。そして……」
彼の白い瞳が、暗闇を見つめる。
「これで…平和になれたかな……」
モニターのログに、最後の項目が追加される。
【観察者:レギウス=キング】
【勃起率:100%】
【感情値:削除済み】
「とっとと…消えやがれええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ(以下略)ッ!!!!!」
レギウスは叫びと共に大剣をモニターに突き刺した。
白銀荘の最上階、署長室は、完全な静寂に包まれる。 レギウスは、ただ座り続ける。 ナワシロの精神崩壊の記憶を。 レイモンドの腐った精液とログの残滓と腐った肉棒を。
秩序は、取り戻された。 だが、「銀血の壁」は、今夜、初めて、大穴が開いた。



