エーイーリーまとめ

白城の訓練所は、夜の静寂に沈んでいた。月光が白い壁に冷たく反射し、砂を銀色に染める。その中心で敷島は静かに立っていた。
白い髪が微かに揺れ、白色の瞳には深い光が宿っている。彼は白城の最高責任者――温和で怜悧、そしてどこか父性的な男だった。仲間や部下に惜しみない愛情を注ぎ、金血の能力で他者の力を吸収し、進化させ、模倣した武器を自在に具現化する。今宵はその力をもって、弟子・エーイーリーの訓練に臨む。
「エイくん、君を強くする。白城の未来を、共に守ろう」
穏やかな声に、確かな決意がこもる。

訓練場の端に立つエーイーリーは、柔らかな白髪を後ろで束ね、白く澄んだ瞳を月光に向けた。大柄な体は包容力を帯び、乱れ気味の銀警官の制服すら、どこか人間味を滲ませている。手には「Stone Hammer of Mercy」――石槌が握られていた。
「敷島さん……夜は静かだね。お腹すいたな」
のんびりとした声が、夜の空気を和らげる。彼の胸元に刻まれた渦巻きの紋章が、風をひとひら巻き起こした。
敷島は微笑んで言った。
「空腹は後で満たそう。まずは――君の力を引き出す」

弱点は決断の遅さと動き出しの鈍さ。敷島は金血の力で朝日の白金拳銃を模倣し、ゴム弾を放つ。
「敵の攻撃を鎮める。僕の弾を防いでみせて」
――パン。夜の静寂を切り裂く音。
エーイーリーは石槌を構えたが反応が遅れ、弾が肩をかすめた。
「うっ……敷島さん、速いよ……。月光、きれいだね……でも、痛い」
曇った白瞳に、すぐ微笑みが戻る。
敷島は穏やかにうなずいた。
「君の渦巻きは攻撃を吸収できる。焦らず、力を信じて」
波動が柔らかく展開し、次の弾丸を包む。シュッ、と音を立てて弾が逸れ、地面に落ちた。
「いいね、エイくん。もっと速く――でも、君のペースは保って」
「……焦らなくていいんだね。ゆっくりでいい?」
「少し速く。後、その優しさは、そのままでいい」
慈しみの声が夜気に溶けた。ゆるやかに、彼の反応は確かな速度を帯びていく。

訓練場に崩れかけの構造物が並ぶ。
「これを直しながら、僕と戦う。仲間を守る力を磨く練習ね」
敷島は八島の武具を模倣し、金色の鞭と剣を展開する。
ヒュン――鞭が走り、剣が光を裂く。
エーイーリーは石槌を叩きつけ、地響きのような波動を放った。鞭の軌跡が吸い込まれ、瓦礫が渦を巻いて再び形を成す。
「……壊すのは怖いけど、直せた」
達成の笑みが滲む。
「君の渦巻きは、白城を守る力だ」
敷島は今度、富士の鍵型武器を模倣し、拘束鎖を放つ。波動が鎖を弱め、石槌の一撃で砕け散る。
「素晴らしい。けど、敵は容赦ない。もっと力を引き出そう」
「お腹すいたけど……仲間、守りたい」
心の奥からこぼれたその言葉に、敷島は静かに微笑んだ。
ポケットから栄養バーを取り出し「これを食べて続けて」と差し出す。
エーイーリーはそれを受け取り、のんびりと噛みしめながら戦いを続けた。

夜更け――訓練の最終。
敷島は全ての模倣武器を展開し、白金の光を纏う。
「エイくん、僕の攻撃をすべて鎮め、仲間を守ってみて」
白金拳銃の連射、変形剣と鞭、鍵鎖、そして千手ロケット――すべてが襲いかかる。
パン、シャキン、ドドン――夜空が閃光で染まった。
エーイーリーは目を閉じ、呟く。
「……焦らない……ゆっくり」
渦巻き波動が満ち、攻撃の勢いを飲み込む。石槌が閃光を打ち返し、鎖を砕いた。崩れかけた構造物さえ波動が組み替え、守り抜く。
「見事だよ、エイくん。君の守りは白城の希望だ」
「……仲間、守れたかな? でも……お腹すいた」
敷島の手が彼の肩に置かれる。
「君は強い。仲間を失うことはない。僕が共に守る」
その声には、掟と慈悲が溶け合っていた。
「敷島さん、優しいね……大丈夫、僕も守るよ」
渦巻きの波動が静かに広がり、訓練場を包み込む。

月光が銀砂を照らす。
エーイーリーは石槌を掲げ、柔らかな笑みを浮かべた。
「敷島さん、ありがとう。……お腹すいたけど、強くなれた」
「食事を用意しよう。銀警官として、白城の未来を担う」
「……楽しみ」
白い瞳が優しく輝く。
その夜、静かな風の中に、新たな絆の音が響いていた。
敷島の慈悲と掟、エーイーリーの優しさと守り――二人の魂は、父子のように共鳴していた。