夜。二人はソファに並んで座っていた。

涼音はパソコンを弄り、アディシェスは報告書を読んでいる。

「……なんか、これが普通になってきた」

「それは良いことだ」

「でも、まだ怖い」

「何が?」

「お前が、いなくなること」

アディシェスは報告書を閉じ、涼音を見る。

「僕は、ここにいる」

「……今は、な」

「これからも、だ」

涼音は震える手でアディシェスの袖を掴む。

「……約束、できるのか?」

「約束する」

「根拠は?」

「君がいるから、だ」

涼音は泣きそうになりながら、アディシェスに寄りかかった。

「……お前、本当にずるい」

「そうか」

「大好きだ、バカ」

アディシェスは涼音の頭を優しく撫でる。

「僕もだ、涼音」

青と銀の光が、静かに溶け合っていく。

それは、秩序でもノイズでもない。

ただ、二人だけの、新しいシステムの始まりだった。

「孤立サーバは、もう一人じゃない」