白城病院施設最深部の静謐な庭園にて、院長である氷川丸は長く沈黙しながら銀警官シェリダーを観察し続けている。彼の視線は単なる監視にとどまらず、内面の微弱な変化にまで繊細に反応する。以下に記されたのは、ある日の連続観察をまとめた氷川丸の詳細レポートである。

1. 姿勢と意思の表出
シェリダーは、庭園の花壇に膝をつき、兵士が植えた小さな白い花を慈しむように世話していた。泥にまみれた鎧の輝きなど気にも留めず、雑草を丁寧に除き水を注ぐその仕草は、軍の荒々しさとは遠い心遣いがあった。彼の動作には、効率を超えた優しさと儀礼性が共存している。これは「白」の理念における冷徹さと共感の複合的葛藤を雄弁に物語っている。

2. 関わり合いの様相
隻腕の患者が震えながらも近寄り、シェリダーは柔和な声音で「恐れるな」と告げた。剣を抜くことなく手を差し伸べる様は、浄化者でありながら癒し手という異質な佇まいを生み出している。彼の領域「純聖の守護」は、心の憎悪を薄め、過去の痛みを受け入れさせる光となって患者を包み込んだ。この瞬間、氷川丸の観察記録には「慈悲の光が彼の冷徹な白を柔らかく形作った」とある。

3. 内的葛藤の兆し
夕刻、剣を胸に当てて祈りを捧げるシェリダーの姿が記録された。遠くに眠る「救えなかった者」たちへの想いが彼の瞳に曇りをもたらし、祈りの言葉は風にかき消えたものの、氷川丸の内心に波紋を刻んだ。シェリダーの白は完全性を拒み、不完全さの受容であり、それが彼の強みでもあり弱みでもあるとレポートは指摘する。

4. 孤独な光
夜、シェリダーは庭園を去り、氷川丸はその背中をじっと見届けた。この孤独な光の動向を監視し続けることこそ院長としての使命である。観察の日々は続き、彼の白とシェリダーの白が交錯しながら、それぞれの意味を問い続けている。