放課後は、内緒の幼馴染。

 Aチームがわいわいと盛り上がる中、Bチームでは黒板を使って様々なカフェメニューの案を出している。

 和気あいあいとしたクラスの雰囲気に僕も少しずつ慣れ始めた頃だった。

 九重くんが小さな爆弾を落としたのは、その直後だった。

「守須。俺はしばらく男装してる子たちとミーティングするから、お前は女装する男子たちとコンカフェらしいサービスの話し合い始めてて。後で俺も合流するから。よろしくなー!」

 嵐のように過ぎ去っていく九重くんに声をかける暇もなく、女装する男子生徒4人と取り残された。

 僕がおそるおそる4人の生徒を見つめると、痺れを切らした玲乃が助け舟を出してくれた。

「コンカフェらしいサービスってあれだよね。フードのオムライスに俺らキャストがお絵描きしたり、美味しくなる呪文とか言うやつのことだよね?」

 玲乃の視線は僕を通り過ぎ他の男子生徒に移る。

 彼らは「なるほどねー」と頷きながら玲乃のほうを向いている。

「こっちで案が決まったらBチームにも共有したほうがいいな。俺が後から伝えとくよ。てことで、俺は書記しまーす」

 玲乃の話を聞いた男子生徒の1人がスマホを片手に僕を見つめてきた。じっと見つめられることに慣れていなくておどおどとしてしまう。

「守須。お前小動物みたいだな。そんなびくびくしなくてもいいんだぜ」

 からかいながら場の空気を和ませてくれる書記係の男子生徒の言葉にほっと胸を撫で下ろす。

 そんな一部始終を、玲乃がどこか冷めた目で見ていたことを、その時の僕はまだ知らなかった。



 玲乃を筆頭に話し合いを進めていると、九重くんが帰ってきた。

「おー。盛り上がってんね。どんな感じ?」

 僕の肩を組み顔をのぞきこんでくる九重くんに少しばつが悪そうにそっぽを向く。自分がほとんど役に立っていないのが恥ずかしくて申し訳なかった。

「あー。俺、書記やってるから案まとめといたの共有するわ」

「おー。了解。へえーこんな感じなんだな。おっけー。Bチームに後で共有するわ。したら、Aチームは今日は解散でまた明日以降話し合お」

 すると書記をしていた男子生徒も

「あー。俺もBチームのカフェのフードとかのイメージ知っときたいからついてくわ」

 と九重くんと共にBチームの島へ近づいていった。

 解散を告げられたAチームは各々帰宅する準備を進めていた。僕は九重くんの後ろをついていこうとしたが

「あー。守須も帰っていいよ。今日はBチームの書記ありがとな」

 と言われてしまったので帰宅することにした。

「睦。帰ろ」

「っ……!」

 不意に玲乃が教室内で僕の名前を呼んだ。幸い他の生徒たちはそれぞれ雑談をしており気づいていない様子だった。

 僕はみんながいるところで玲乃に声をかけられたのが初めてで驚きつつも小さく頷き廊下へと出た。