白銀荘内の温泉施設。白い湯気が立ち込める露天風呂の外、木製の回廊を歩くオジェとユディット。回廊の脇には雪が積もり、遠くの山々が白銀に輝いている。温泉の熱気が身体に残り、二人ともリラックスした雰囲気を漂わせている。

オジェ=ル=ダノワは、温泉から上がったばかりの火照った身体で回廊を歩いていた。白いタンクトップに茶白の薄肌ジャケット、灰色のプリーツスカート型のズボンが彼の独特な私服スタイルを際立たせる。白金のブレスレットがカチャリと音を立て、クラッチバッグを肩にかけている。手にはオロナミンCの瓶を持ち、ゴシック調の伊達眼鏡越しに満足げな笑みを浮かべている。
「ぷはぁ……はぁ……気持ち良い……」

オジェはオロナミンCを一口飲み、目を閉じてその爽快感を味わうように呟いた。白い髪が湯気で少し湿り、白色の瞳が柔らかく光る。彼の声は、まるで温泉の余韻と飲み物の爽やかさに浸っているかのようだ。普段の怜悧冷徹な銀警官の姿はそこになく、ただ人間味溢れる温かさが漂っている。
その言葉を聞いたユディットは、隣で歩を止め、眉をひそめる。白い髪を無造作にかき上げ、白色の瞳でオジェを睨むように見つめる。銀警官であり、冷酷非情な殺人鬼のユディットにとって、オジェのこの発言はあまりにも異質だった。

「言い方、どうしたぁ？？？ 前までは『旨』しか言わなかったっすコイツ★」

ユディットの声には、呆れと軽い苛立ちが混じる。彼の口調は砕けているが、どこかオジェの変化を不気味に感じている様子が伺える。
オジェはユディットの反応に気づき、照れ笑いを浮かべながら瓶を手に持ったまま首を傾げる。

「え、ユディくん、なに？ なんか変だった？」

彼の声は無邪気で、温泉の心地よさとオロナミンCの爽快感に完全に浸っている。白金のペンダントが胸元で揺れ、まるで彼の心の軽さを象徴しているようだ。
ユディットは鼻を鳴らし、腕を組む。

「変ってレベルじゃねえよ。気持ち良いって……言い方、めちゃくちゃおかしいって★(マジでキモイ)」

彼の言葉には、いつもの冷酷さが滲むが、オジェへの親しみがどこか感じられる。ユディットにとって、オジェの異常性は「いつものこと」だが、こうも無防備に振る舞われると、さすがに引かざるを得ない。
オジェは笑いながら、オロナミンCの瓶を掲げる。

「いやぁ、本当に、温泉に入ってさ…オロナミンC飲むとね？ …なんかこう……生きてるぅ！って感じがするんだよね。ユディくんも飲んでみる？」

彼は瓶をユディットに差し出すが、ユディットは手を振って拒否する。

「遠慮しとく。てか、君のそのテンション、ほんとキモいからやめろ★(マジでキショい)」
回廊の端で、二人のやり取りは続く。雪の降る白銀荘の温泉施設は、静かで穏やかな空気に包まれているが、オジェの無邪気さとユディットの冷ややかな反応が、奇妙なコントラストを生み出していた。