静かな田舎町の午後、エラースとエーイーリはいつものようにふらりと散歩に出かけた。エラースは小さな手で野花を摘みながら、鼻歌を歌っている。無垢な瞳はキラキラと輝き、まるで世界のすべてが遊び場のように見えている。一方、エーイーリは巨体をゆったり揺らし、白色の髪を風にそよがせながら、ぼんやりと空を見上げている。白い瞳はどこか遠くを見つめ、口元には常に緩い笑みが浮かんでいる。
「エーイーリ! 見て見て、この花、すっごくキレイ!」
エラースが黄色いタンポポを掲げて叫ぶ。エーイーリはゆっくり首を傾げ、「おお、いいな! 食べれるか?」と真顔で返す。エラースはケラケラ笑いながら、「ダメだよ! 花は食べないの!」と手を振る。エーイーリは「ふーん」と納得したような、してないような顔で、道端の石を拾い上げ、なぜかポケットに突っ込んだ。
二人は川沿いの小道を歩き続ける。エラースは水面に映る雲を指さし、「あ! あの雲、羊さんみたい!」と無邪気に笑う。エーイーリは「羊? 焼いたら美味いかな」と呟きながら、川に石を投げ込む。石は見事な弧を描き、対岸の木に直撃。木がガサッと揺れ、小鳥が驚いて飛び立つ。
「おお、飛んだ!」とエーイーリは満面の笑みで拍手。エラースも「すごーい! エーイーリ、投げるの上手!」と目を輝かせる。エーイーリの行動が少し無茶でも、エラースにはそれがただの「楽しいこと」に映る。
しばらく歩くと、道端に古びたカートが放置されているのを見つけた。エラースが「わあ、なんだろこれ!」と駆け寄ると、エーイーリは「乗ってみるか?」とニヤリ。考えるより先に、エーイーリはカートをガタガタと動かし始め、エラースを軽々と乗せる。
「行くぞー!」と叫びながら、エーイーリはカートを全力で押し始めた。坂道を猛スピードで下るカート。エラースは「キャー! 速い速い!」と笑いながら手を振り、エーイーリは「ハハハ、もっと速く!」と無邪気に叫ぶ。カートは道の端でガシャンと転倒したが、二人は草むらに転がりながら大笑い。エーイーリは「楽しかったな!」と満足げに立ち上がり、エラースも「またやろ!」と目を輝かせる。
その後も二人は、道端でカエルを追いかけたり、木の枝で即席の剣遊びをしたりと、時間を忘れて遊び続けた。エーイーリの奇抜な行動—たとえば、川に飛び込んで「魚と話す!」と言い出したり、木の幹に頭突きして「硬え!」と笑ったり—は、エラースにとって最高のエンターテインメントだ。エラースの純粋な笑顔は、エーイーリの単純な幸福志向と共鳴し、二人だけの小さな世界を作り上げていた。
夕日が沈む頃、二人は丘の上で寝転がり、空を見上げる。エラースは「エーイーリ、今日も楽しかったね!」と呟き、エーイーリは「ね? 腹減ったから、なんか食うか!」と返す。エラースはクスクス笑いながら、「エーイーリ、いつもお腹空いてるね」と言う。エーイーリは「そりゃ、生きてる証だ!」と胸を張り、二人してまた大笑い。
日が暮れても、二人の散歩は続く。エーイーリの無頓着な行動とエラースの無垢な笑顔が、どこまでも自由で、どこか不思議なハーモニーを奏でていた。町の人々はそんな二人を見て、「あのコンビ、なんか変だけど…楽しそうだな」と微笑むのだった。