白城の島国は、霧が白い珊瑚石の壁を柔らかく包み、海風がそっと通り抜ける静かな朝を迎えていた。白城の保安官寮は中心塔の基部に広がり、白い壁と高い天井が威厳を放つ。上級保安官部門のオフィスには書類が整然と並び、窓から差し込む光が白い床を照らしている。

鈴谷と曙、共に屈強な白人男性で、白い髪と白色の瞳を持つ白の上級保安官は、シフト表を前に頭を悩ませていた。鈴谷は机に肘をつき、白い髪を指で弄びながら「八島くんのシフト、また被ってる……」と呟く。曙は腕を組み、白色の瞳を細めて「アイツの世話焼き、毎回面倒なんだよ……」と低く言った。二人は八島の明るく天真爛漫な性格に振り回されるのが苦手で、できるだけ会わないよう工夫していた。

八島もまた同じ白の上級保安官で、屈強な体躯に白い髪、白色の瞳が輝く。オシャレ好きな彼は、今日は桜色のネクタイを締め、金の桜型ピンを襟につけていた。明るくムードメーカーな彼は、世話焼きが度を超え、仲間を家族のように気遣うが、その熱量は鈴谷と曙には重荷だった。

「お前、昨日も八島くんにスープ持ってこられたろ?」鈴谷が曙に言うと、曙は顔をしかめ、「あーあ、夜勤中に『元気出して!』って押し付けられた。逃げられない……」と返す。二人はシフト表を手に八島の予定を確認。鈴谷がカレンダーを指差し、「八島くん、明日の昼シフトだ。僕たち、夜にずらせば会わなくて済む」と提案した。曙は頷き、「いいな。日付ずらして、八島くんのいない時間に動こう」と決める。

オフィスの端末を使いシフトを変更した二人は、八島の昼シフトを避けて夜勤に移動。
「これでしばらく静かだ」と鈴谷が笑えば、曙は「けど、八島くんにバレたら追いかけ回されるぞ」と警告。二人は顔を見合わせ、「バレないよ、完璧だ」と笑い合った。白城の霧がオフィスを包み、海風が書類をそっと揺らす中、計画に満足する二人。

変更後のシフトで夜の巡回に出ると、白城の通りは霧に包まれ、珊瑚石の建物が月光に光っていた。
「静かでいい。八島くんの声がないだけで楽だ」と鈴谷。曙は「まったくだ。アイツの『世話焼きビーム』がないだけでな」と笑う。二人は任務をこなし、八島の気配がないことに安堵した。

しかし翌日、八島にすべてがバレた。保安官寮の廊下でシフト表をチェックした彼は、白色の瞳をキラキラさせながら「鈴谷くん! 曙くん! シフト変更したな!? 僕に会わないようにするなんて、寂しいじゃないか!」と叫ぶ。桜色のネクタイが揺れ、天真爛漫な声が響く。オフィスで書類整理中だった鈴谷と曙は顔を青ざめ、「やばい、バレた!」鈴谷が呟き、「逃げろ!」と曙が叫ぶ。

二人は廊下を駆け抜け、霧深い通りへ飛び出した。八島はムードメーカー全開で追いかけ、「待てよー! 僕のクッキー、食べて元気出そうよ!」と叫びながら手作りのクッキー袋を振る。その足音が珊瑚石の道に響く。

「アレ、なんでこんな速いんだ!」
息を切らす鈴谷。
「世話焼きの執念じゃん?」と曙。市場を抜け海辺の埠頭まで逃げるが、八島は諦めない。
「鈴谷くん! 曙くん! 仲間じゃないか! 僕の愛、受け取ってくんなぁい??????」
八島の明るい声が霧を切り裂く。

埠頭の端で追い詰められた二人は観念。差し出されたクッキーに鈴谷は渋々手を伸ばし、「…まあ、美味いけど」と呟く。曙も一口かじり、「…悪くないけどさ」と認める。八島は満面の笑みで「でしょ! これからも一緒にシフト組もうね!!!」と抱きつく。二人は顔を見合わせ、苦笑い。白城の霧が三人を包み、海風がクッキーの香りを運んだ。