白城の医療事務所は、霧が窓を濡らす昼下がり、再び救急の足音に揺れた。志賀は診察室でカルテを手に、白い髪を払い、白い瞳で新患者を迎える。西国から人間の救急隊が運び込んだ患者の名はイム——ナルコレプシーを患う人間の男。霧深い白城の医療施設に、緊張が響く。
志賀はカルテに記す。手は冷静だが、瞳に微かな疲れが滲む。
症例番号:WC-0268 患者名:イム
性別:男性 / 職業:広告代理業(西国出身)
主訴:突発性睡眠発作、カタプレキシー、睡眠麻痺、幻覚 既往歴:特記事項なし。西国で発症後、白城へ搬送。
診断名:ナルコレプシー(Narcolepsy)
•睡眠調節障害。突発睡眠・筋弛緩発作を特徴とする神経疾患。
発症経過:患者は約3ヶ月前より突発睡眠発作(1日3〜5回、5〜20分)。カタプレキシー(感情刺激で筋弛緩)頻発、睡眠麻痺・入眠時幻覚(霧の影を見る)報告。患者自陳「霧の中に落ちる。抜け出せない」との記述。搬送時、衰弱進行、覚醒時間短縮。脳波検査でレム睡眠異常確認。
進行の特徴:発作頻度増、カタプレキシー重度化。心肺機能低下併発。
治療経過:モダフィニル・抗うつ薬投与も効果不十分。支持療法(安全環境確保)施行。発作間隔短縮で昏睡状態移行。予後不良。
予後:進行性衰弱による呼吸不全。霧の如く、意識が途切れる。
所見:本症は睡眠の断裂が命を奪う。白城の霧は、患者の覚醒を曖昧に。追跡調査要。
担当医:志賀
志賀は奥室のベッドへ向かう。イムは白いシーツに横たわり、顔は疲弊し、霧に沈むよう。突発睡眠発作で意識が途切れ、カタプレキシーで体が崩れる。志賀は観察し、声を掛ける。
「イム、起きろ。霧に負けるな」
だが、イムの白い瞳は閉じ、幻覚の霧に囚われる。志賀は心電図をチェックし、カルテに発作の頻度を記録。
霧の夜、イムの呼吸が乱れ、止まった。カタプレキシーの果て、呼吸不全が命を奪う。志賀はシーツを整え、カルテに「死去」と記す。白城の医療事務所に、また一つの霧が刻まれた。
(終)
志賀はカルテに記す。手は冷静だが、瞳に微かな疲れが滲む。
症例番号:WC-0268 患者名:イム
性別:男性 / 職業:広告代理業(西国出身)
主訴:突発性睡眠発作、カタプレキシー、睡眠麻痺、幻覚 既往歴:特記事項なし。西国で発症後、白城へ搬送。
診断名:ナルコレプシー(Narcolepsy)
•睡眠調節障害。突発睡眠・筋弛緩発作を特徴とする神経疾患。
発症経過:患者は約3ヶ月前より突発睡眠発作(1日3〜5回、5〜20分)。カタプレキシー(感情刺激で筋弛緩)頻発、睡眠麻痺・入眠時幻覚(霧の影を見る)報告。患者自陳「霧の中に落ちる。抜け出せない」との記述。搬送時、衰弱進行、覚醒時間短縮。脳波検査でレム睡眠異常確認。
進行の特徴:発作頻度増、カタプレキシー重度化。心肺機能低下併発。
治療経過:モダフィニル・抗うつ薬投与も効果不十分。支持療法(安全環境確保)施行。発作間隔短縮で昏睡状態移行。予後不良。
予後:進行性衰弱による呼吸不全。霧の如く、意識が途切れる。
所見:本症は睡眠の断裂が命を奪う。白城の霧は、患者の覚醒を曖昧に。追跡調査要。
担当医:志賀
志賀は奥室のベッドへ向かう。イムは白いシーツに横たわり、顔は疲弊し、霧に沈むよう。突発睡眠発作で意識が途切れ、カタプレキシーで体が崩れる。志賀は観察し、声を掛ける。
「イム、起きろ。霧に負けるな」
だが、イムの白い瞳は閉じ、幻覚の霧に囚われる。志賀は心電図をチェックし、カルテに発作の頻度を記録。
霧の夜、イムの呼吸が乱れ、止まった。カタプレキシーの果て、呼吸不全が命を奪う。志賀はシーツを整え、カルテに「死去」と記す。白城の医療事務所に、また一つの霧が刻まれた。
(終)



