「う……っ。く……っ! よし、完了!」
バイト二日目。
ツキさんに処理を終えた商品の返却を教わった俺は、早速コミックとDVDなどの返却作業に追われていた。
バイトを始めて知ったことだが、ジャンルごとに分けることには大きな意味があったらしい。スタッフが返却作業を行う際、棚の順番通りに積み上げることで、店内で無駄なく作業ができる。
しかしこの作業、多少の慣れは必要で、他の先輩たちが高い位置まで商品を積み上げるのに対し、俺はうまくそれができずにいた。大事なのはなれらしいけど、俺は商品を高く積み上げて、バランスを崩さずに二階まで上がれる気がしなかった。
言うなれば、自転車で蕎麦を積み上げて配達する作業が自分には出来なさそう、というのと同じ感覚である。
しかもこの作業、場合によっては棚の一番高いところへの返却の必要もあり、それが作業の難易度を押し上げていた。
「く……っ! うっ!」
腕の中で目線ほどまで積み上げられた商品を落とさないようにしつつ、俺はDVDのケースに手を伸ばした。
身長……! おそらく身長がやや足りないのが悔しい。あとついでに俺は不器用である。商品を落としてしまいそうで、カリカリとDVDのケースをひっかきながら、上手く収納できない己に苛立ちが募る。
『届かなさそうなら、脚立を使ってください』
ツキさんは昨日そう俺に言ったけれど、男として使ったら負けな気がするし、第一問題なのは俺の不器用さであって身長ではない気がした。
「え?」
その時、だった。
俺が一人奮闘していると、俺の視界に急に影が差した。それは人の手で、手は俺からディスクの入ったを取ると、すっと当然のように一回で棚の空のケースにそれを収納してみせた。
「ツキさん……?」
「……おはようございます。アサさん」
振り返った俺は、挨拶をされて冷静になった。
――今、無言で高い棚の商品戻すの手伝われた……!
恥ずかしい。
だが、俺の教育係である黒マスク男子、ツキさんは気にしていないようで、更に俺の手から山積みの商品を持ち上げた。
「返却手伝います」
「あ、ありがとうございます……」
安心する、落ち着いた声音だ。俺が礼を言うと、ツキさんはふっと笑って頷いた。なんだか幼い子に対する態度のようにも思えたけれど、俺は不思議と、ツキさんの態度が嫌ではなかった。
ツキさんは、兄さんとは少し違う。過保護というより、俺ができるところまで、見守りながら並走してくれる感じ。
それが嬉しいような、くすぐったいような――妙な感覚。
「俺はもう終わりましたけど……アサさん、大丈夫ですか?」
考え事をして一人立ち止まっていた俺は、半分を受け取って、返却作業を終えたツキさんに声をかけられてしまった。
「す、すいません。少し考え事をしてて。今から仕事をしてきます!」
顔はよく見えないけれど、声でわかる。俺を気遣ってくれる彼から逃げるようにして、俺は作業を続行した。
バイト二日目。
ツキさんに処理を終えた商品の返却を教わった俺は、早速コミックとDVDなどの返却作業に追われていた。
バイトを始めて知ったことだが、ジャンルごとに分けることには大きな意味があったらしい。スタッフが返却作業を行う際、棚の順番通りに積み上げることで、店内で無駄なく作業ができる。
しかしこの作業、多少の慣れは必要で、他の先輩たちが高い位置まで商品を積み上げるのに対し、俺はうまくそれができずにいた。大事なのはなれらしいけど、俺は商品を高く積み上げて、バランスを崩さずに二階まで上がれる気がしなかった。
言うなれば、自転車で蕎麦を積み上げて配達する作業が自分には出来なさそう、というのと同じ感覚である。
しかもこの作業、場合によっては棚の一番高いところへの返却の必要もあり、それが作業の難易度を押し上げていた。
「く……っ! うっ!」
腕の中で目線ほどまで積み上げられた商品を落とさないようにしつつ、俺はDVDのケースに手を伸ばした。
身長……! おそらく身長がやや足りないのが悔しい。あとついでに俺は不器用である。商品を落としてしまいそうで、カリカリとDVDのケースをひっかきながら、上手く収納できない己に苛立ちが募る。
『届かなさそうなら、脚立を使ってください』
ツキさんは昨日そう俺に言ったけれど、男として使ったら負けな気がするし、第一問題なのは俺の不器用さであって身長ではない気がした。
「え?」
その時、だった。
俺が一人奮闘していると、俺の視界に急に影が差した。それは人の手で、手は俺からディスクの入ったを取ると、すっと当然のように一回で棚の空のケースにそれを収納してみせた。
「ツキさん……?」
「……おはようございます。アサさん」
振り返った俺は、挨拶をされて冷静になった。
――今、無言で高い棚の商品戻すの手伝われた……!
恥ずかしい。
だが、俺の教育係である黒マスク男子、ツキさんは気にしていないようで、更に俺の手から山積みの商品を持ち上げた。
「返却手伝います」
「あ、ありがとうございます……」
安心する、落ち着いた声音だ。俺が礼を言うと、ツキさんはふっと笑って頷いた。なんだか幼い子に対する態度のようにも思えたけれど、俺は不思議と、ツキさんの態度が嫌ではなかった。
ツキさんは、兄さんとは少し違う。過保護というより、俺ができるところまで、見守りながら並走してくれる感じ。
それが嬉しいような、くすぐったいような――妙な感覚。
「俺はもう終わりましたけど……アサさん、大丈夫ですか?」
考え事をして一人立ち止まっていた俺は、半分を受け取って、返却作業を終えたツキさんに声をかけられてしまった。
「す、すいません。少し考え事をしてて。今から仕事をしてきます!」
顔はよく見えないけれど、声でわかる。俺を気遣ってくれる彼から逃げるようにして、俺は作業を続行した。


