俺の幼馴染が陽キャのくせに重すぎる!

「だって、断るんでしょう?」
 武は浩二に問いかけた。
 純粋な顔をして告白を断るように迫っているように見えたのは、目の錯覚だろうか。

「断る」

 浩二には迷いはなかった。

 ……いいのかよ。

 おそらく、浩二は武が好きだ。
 好きな人から言われた言葉を絶対的に守るのが浩二だった。

「ほら! ほら! 言った通りでしょう!」

 武は興奮して俺の背中を叩く。

 ……こいつら、実は両想いなんじゃないのか?

 武は浩二が告白を断るのが嬉しいようだ。
 三人でふざけている様子を疎ましそうな目で律が見ていることも知らず、葵はへらへらと笑っていた。

「わかったっての! 痛いんだよ! このバカ1」

「馬鹿力って言ってほしいのですよ!」

「バカで充分だろ!」

 葵と武は互いに叩き合う。

 葵は加減はしているものの、武は加減なしだ。加減をすることを知らないのだろう。

 ……律、見てないよな。

 不意に心配になり、律がいる方向に視線を向けた。

 律と目が合った。

 不快そうな顔をしている律とその周囲の人々は三人のふざけ合いを見ていた。ひそひそとなにかを言っている人もいる。

 ……見られてた!

 友人とふざけていただけだ。

 それを責められることはしていない。なにより、律には責める資格はない。

 ……今日の甘えモードは酷いな。

 友人とふざけていた日には律の甘えん坊は酷くなる傾向があった。それをいつものこととして受け入れている葵がいけないのだろうが、こればかりはどうしようもなかった。

 ……拗ねてる。

 拗ねている律もかわいいと思う。

 周囲には不愉快そうにしているようにしか見えないだろう。

「葵?」

 武は葵の視線を追うように振り返った。

 そして、すぐに視線を葵に戻した。若干、恐怖で震えている。