俺の幼馴染が陽キャのくせに重すぎる!

「律だけ」

 葵は律の髪に触れるのが好きだった。
 滑らかな髪は触り心地が良い。日頃から気を遣っている証拠だ。

「律だけだから」

 葵は同じ言葉を繰り返す。
 そうすることで律が安心をするのを知っていた。

「勉強を一緒にするのも?」

「律がいないと俺が困るだろ、それ。赤点ギリギリなんだからさ」

「うん。そうだね。僕が勉強をみてあげるよ」

 律は機嫌良さそうに笑った。

 律は葵の頬に手を伸ばす。それから、両手で葵の頬に触れた。

 ……キスされるかと思った。

 一瞬、どきんっとしてしまった。

 期待してしまう自分自身を牽制する。

 ……俺がそういう目で見ているって、知ったらどうするんだろう。

 律は葵に依存をしている。

 葵も律に依存をしている。

 互いに依存しあってここまできたのだ。告白をすることができないのは、その関係性が壊れるのを無意識に恐れているからである。

 ……俺、律に依存してるよな。

 自覚はあった。

 ……律はそうでもないのに。

 しかし、律が葵に依存をしているということには気づいていなかった。

「無理して普通科に入るからだよ?」

「律が一緒がいいって言ったんだろ」

「僕が合わせてもよかったのに」

 律は笑う。

 それから、ゆっくりと手を離し、起き上がった。

「工業科や農業科も楽しそうだよ。商業科の子たちも授業が好きみたいだしね」

 律の言葉に葵は頷いた。

 ……授業の難易度を考えれば、俺は工業科に行くべきだった。

 将来は実家の工場を継ぐつもりなのだ。

 そのためにも工業系の就職先を探さなければならない。進学が主体である普通科に進級したことにより、その夢は四年後まで先延ばしになったが。律と同じクラスになるためにはしかたがなかった。

 何事に対しても律が最優先だった。