俺の幼馴染が陽キャのくせに重すぎる!

 十七歳の高校三年生の春、少年、葉山葵は恋をしていた。
 相手は幼馴染の杉田律だ。

 ……この恋は障害が多すぎる。

 律は高校で一番の人気者だった。そのため、今日も律の周りには大勢の生徒が集まっている。人見知りで人混みが苦手な葵は、幼馴染だからとその中に入っていくことができず、友人二人と昨日見たばかりのアニメの話で盛り上がっていた。

「律君ー!」

「かっこいいよね!」

「憧れる!」

 教室を覗きに来た他のクラスの生徒が騒いでいる。

 ……うるさい。

 静かにアニメについて友人二人と語り合っていた声がかき消される。

「律様か」

「なんだよ、その呼び名。様付けとかないんだけど」

 友人、遊佐浩二が真顔で律を様付けした。

 ……ありえない。

 葵は心の中で否定をした。

 様付けをされるような人ではない。葵の知る律はそんなに完璧な人間ではなかった。

 ……律は様付けされるような立派な陽キャに擬態をしている甘えん坊だ。

 幼馴染に心を許しているのだろう。

 二人だけになると本性を現す。

 ……二人になった時の甘え癖をなんとかしたいと思って入るんだが、律を疎んでる友人には相談できない話だな。

 友人たちは律を疎んでいた。

 口には出さないものの、常に人に囲まれていて騒がしくうしている律を迷惑だと思っているのだろう。

「あまりの人気に我々陰キャとは違う世界の生き物ってことでして。尊敬と軽蔑を込めて律様になったんです」

 友人、大山武の言葉に納得がいった。

 ……でも、軽蔑は込めないでほしかった。

 律は悪いことはなにもしていない。

 その容姿と優しい性格のせいで人が勝手に集まってくるのだ。中には親衛隊を名乗る連中もおり、互いに告白をしないように牽制をしあっている。

 ……住む世界が違うのはわかるけど。

 幼馴染が遠くに感じた。