最近は朝も暑いから、午前中だったら外に出てもいいなという気持ちにすらならない。眠れなかった日は、近所を20分くらい散歩することが日課になっていた俺には死活問題である。
 テレビでは、気温が過去最高を更新していると薄ピンクの服を着た若いアナウンサーが力強く話しているが、今年だけで何度その言葉を聞いたのだろうか。
 俺は半分まで食べていたブドウ味のアイスを一気に口へ押し込み、ゴミ箱に投げ入れた。
 夏も終わりに近づく時期のはずなのに、この暑さはなんなんだ。汗でべたつく手のひらを雑にズボンで拭くと俺はソファから起き上がった。

 年季が経っているせいで歩くと軋む廊下を渡り、階段を上ると手前から2番目の部屋が俺の部屋だ。扉を開けるとひんやりとした空気が肌を撫でる。睡魔で重くなってきた瞼を擦り、ベッドの足元で山になったタオルケットを掴み、横になった。

 昨日の夜から今日の朝方まで、友人と「狩り」に精を出していたのだが、若いとはいえ流石に大学も卒業するとオールができるほどの体力はなくなってしまったらしい。
 元々、体力なんてなかったが、仕事柄家にいることが多くなったためか体力は目に見えて衰えてしまった。
 横になると身体が溶けるようにベッドに馴染んでいく。俺は抵抗することなく、睡魔の微睡みに身体を預けることにした。