小雨が降り始め、家に帰ったら自宅前に恋人の瑞葉が来ていた。

「あ! 義孝くん」



「やぁ、ミズハ。家に用か?」

「うん。お母さんに言われて、お裾分けを持ってきたんだ」

「もう帰るのか? 少し部屋に寄ってけよ」

「うん、分かったわ」

 今は俺の部屋で紅茶を飲んでいる。
 上着のジャケットを脱いで、白色の地味系な伸びる素材の体のラインがしっかり出るふわっとしたセーターを着ていた。可愛くて若干ドキドキだ。

「ねぇ義孝くん、夢の世界の独り言で、私と一緒に、一生添え遂げるって言ってたよね?」
「瑞葉、聞こえていたのか……」
「あの夢の中の事って徐々に記憶に上がってくるのね。蘇ってきたの。」
「そうか、格好いいこと喋っちまったな」

「夢の中では格好いいこと言って悦に入ったり、NTR好きとか普段見られなかった側面を見させてもらったわ」

「瑞葉はキリッ! となったりポンコツになったり忙しかったな」
「ケンカ売ってるのかしら? 一か月もハルちゃんと二股かけた癖に!」

#ハルちゃん:別拙作の「嘘告」の可愛い娘で嘘告がバレるまで一か月付き合った。

「あの……瑞葉さん、今ごきげん悪い?」
「だってさっき見た由愛ちゃん、すっごいゴキゲンだったから、きっと貴方と変な約束したんだなって」

「あ」

「それに私の記憶障害って何がしたかったのかしらね義孝君は、ハルちゃんと先に進もうと考えてたんじゃないかしら?」

「あああ違っ」
「その反応……図星かしら……最低だわ……涙出そう」

「あ、いやさ、由愛のは今回は大丈夫、家族ハグの約束だけだから」
「ハグって普通のハグでしょ? 軽く抱っこし合うやつ……」
「ああ、その通りだ。ただ掘り出しもんのハグだけどな」
「私にもしてよハグ。絶対してほしい気がする」
「可愛い服きてるのに、いいのか? オートマチックで手が動いたらたいへn……」

「それはダメだね~胸触ったら口きかないからね」
「瑞葉さんは手ごろな大きさだからね」
「胸は大きさじゃないわ、触り心地と感度よ!」ビシっと指を天井へ……。
「そのエビデンス(根拠)は?」
「わたし」

「いうても家族ハグだぞ? そもそも俺としては瑞葉と恋人ハグがしたいのだが」
「恋人ハグって……そういうのはダメ! 結婚するまでダメ!」
「そうだよなー、そういうと思ったけど」

「幼馴染は妻より一つ下の位だからね。偉いのよ」
「唐突に……それって恋人と幼馴染と、どっちが格上なん?」
「幼馴染よ」ビシっと指を俺の顔に……。

 俺は瑞葉がやっぱりポンコツなんだなと少しだけ強く思った。あ、家族ハグ、新しい技をコッソリ入れれば好いんじゃない? 妹と幼馴染に溺愛される俺、こんなことやってて良いのだろうか? とふと思った。

「じゃ、抱き締めるよ」

「うん、優しくね……」

↓ 一途な瑞葉、こんなに可愛い恋人なのに義孝は……


 バタバタと妹の部屋から由愛が来た。

「あのね、お兄ちゃんっ、わたしね、瑞葉ねえちゃんを嫉妬させよう大作戦を思いついた!」

「いや由愛は何も考えないでくれ」

「私まだここに居るんだけど」

★★★★★

 何のひねりもなく、今日も無問題、平和だった。
 描写はないが、後にハグをして由愛と瑞葉はメロメロになったという。新しい技が効果的だったようだ。