外を歩いている兄と妹。俺はスラックスに白シャツ、由愛は可愛いワンピースを着ていた。



「お兄ちゃん、私たちがいたって場所、念のためにもう一度聞くけど、お兄ちゃんの夢だったんだよね?」

「ああ」

「夢の世界は観る本人の願望が反映していた世界なのよね?」

「ああ」

「そうだとすると、再確認だけど、義理の妹って設定、ぶっこんでたわよね? 所々で」

「ああ」

「あとね、お兄ちゃんの独り言、聞こえちゃってた記憶が出てきたの」

「ああ、うん」

「私の大事にとっておいたプリン、お兄ちゃんが食べたってところ」

「私に次何か男子トラブルあったら直ぐに駆けつけてくれるんだよね?」

「もちろん」

「私プリンやNTR危機は怒ってるけど、その100倍幸せを感じてるよ」

「え」

「だって願望なら、私は義理の妹の方が良いんでしょ、そんな風に考えてくれて嬉しい」

「お、おう(いや、母さんが由愛は義理の妹だって言ってたんだが)」

「混浴…家族風呂にも一緒に入りたいって言ってたよね?」

「いつも思ってる」

「普通の妹ならキモいって背筋がぞっとするでしょうけど、私は違うよ。大好きだから」

「大好きって小林っ、小林幹夫の事か! お兄ちゃんは許さんぞっ」

「それもういいから。私が好きなのはお兄ちゃんだってば。ずっと好きなんだってば」

「好きって男としてかな? それとも兄として大好きなのかな?」

「あうう……そう聞くのは反則だよ……」(真剣な顔で且つ少しすねる)

 俺は由愛を引き寄せ、そっと耳打ちする。

「俺も由愛の事大好きだぞ。とっても大好きだからな。愛してると言っても過言じゃない」

「キャッ! 耳に息が、む~~何だか恥ずかしいよぉ」

「お前は俺の夢の世界に居たんだ、誤魔化しは出来ないな。俺はどうやらシスコンの最上級だ」

「色々ひっくるめて夢の世界の件は条件つきで許してあげる!」

「なんだ?」

「寝る前、ぎゅっとハグして頭を撫でて欲しい。安心していい夢みれそうだから」

「そんなことでいいんか?」

「お兄ちゃん成分を補充しないと。気持ち悪いって思わないでね」

「も、もちろん」

「うん。愛情込めて私専用のハグを……我儘言ってごめんね」(顔が下向き赤くなっていく由愛)

「甘えっ子だな」

「むー」

「可愛いって意味で……」

「わたし、フツーにしてるようで、いっぱいいっぱいだからね今」

 手を繋いで欲しいって言い出した妹の手を握り、仲良く家に向かって歩く二人だった。