一週間後

 学校の食堂、四人でいつもの席に座っていた。

 (ヨシタカ)
「平和ですねー」

 小林(ミキオ)
「なぁ、オレたちのいた世界って、お前の夢の中だったんだろ?」

 俺
「あ、今日も天気がいいなぁ、ポカポカしてるよー」

 小林
「俺たちをお前の勝手な夢に巻き込むなよな。マジで」

 瑞葉(ミズハ)由愛(ユアイ)
「「……」」

 小林
「正直、空間魔法のスキル覚醒とやらで驚きすぎて、ツッコミするのを忘れてたんだが、空間魔法は使えないんだろ今は?」

 俺
「はい」

 小林
「俺たちがいたところは、お前の願望が詰まった、お前の大好きな夢の世界だったんだろ?」

 俺
「はい、そうです」

 瑞葉&由愛
「「……」」

 瑞葉
「ギャラクシアン・エクスプロー……」

 由愛
「おねえちゃん、ソレやめて」

 小林
「恋人が寝取られる夢なんざ見るんじゃねーよ。妹の由愛ちゃんまでNTR危機があったんだぞ」

 俺
「面目次第もございません」

 小林
「性癖が歪んでんじゃねーの? まだ高校生だぞオレたち。恋人や大切な妹を寝取られる性癖ってさ、どうなんよ、そこんとこ」

 俺
「ごもっともです、自覚が足りませんでした」

 瑞葉&由愛
「「……」」

 小林
「で、最後の電話の相手、誰なんだ?」

 俺
「たぶん大学生の兄さんだと思います。鉱泉宿で出会った人かと」

 小林
「神様って呼んでいたな? 神なのか、マジで」

 俺
「たぶん正解だと思われます」

 小林
「NTR願望を実現してくださる神様ってか」

 瑞葉
「義孝君、また神様の気分次第で転送されたりしないの?」

 俺
「僕もやり方が分かりましたから、次は直ぐに帰れると思います」

 瑞葉
「……夢だったらさ、好きなこと出来るよね? 例えば木下先輩じゃなくて義孝君、あなた自身がNTR相手なら私まだ許せたよ……」

 俺
「はい、配慮が至らず申し訳ありませんでした」

 由愛
「……私の相手、木下先輩ヤダ絶対。どうしてあんな人を……」

 俺
「申し開きもございません」


 ☆

 丁度、食堂の出入り口から爽やかそうなイケメンが入ってきた。僕たちの方を向くとスタスタと歩いて来る。そして……。

 イケメン木下
「あの、村越瑞葉さん、好きです。付き合ってくれませんか?」

 瑞葉
「私、彼氏がいます。そして貴方は絶対に嫌です」

 イケメン木下
「それでは西之原由愛さん、好きです。付き合ってください!」

 由愛
「ダメです。すぐ別の女子に声掛けするなんて生理的にアウトです」

 イケメン木下
「辛辣なお返事、ありがとうございました。お時間を頂戴して誠に申し訳ございませんでし」

 腰を直角に、しっかり頭を下げションボリした木下くんは食堂から出て行った。

 小林
「……彼もまた、ある意味で義孝の被害者の一人という事か」

 俺
「……」

 由愛
「……お兄ちゃんのばか」





【Fin】


☆☆☆☆☆


義孝「やあ、君たち美人さんだね。名前は何ていうのかな? スマホのID交換しないかい?」