白城の下級保安官寮は、砂漠の夜にひっそりと佇んでいた。白い壁が月光を反射し、静かな廊下に足音が響く。寮の一室で、天里がベッドに腰を下ろし、ため息をついていた。屈強な白人男性である彼は、白い髪を無造作に掻き上げ、白色の瞳を暗闇に輝かせていた。変異白者――黒者の白版とも呼ばれる存在――として、彼の体は昼夜逆転の生活に適応していた。朝から夕方まで眠り、夜から深夜にかけて活動するリズムは、黒者のそれに酷似していた。同僚たちからは度々怪しまれ、「天里くん、君いつも夜しか見ないね。黒者のファンやめたら?」とからかわれるが、彼はただ笑って誤魔化すだけだった。
しかし、今夜の天里はいつもと違っていた。性欲が募り、胸の奥で疼くような渇望が彼を駆り立てていた。
「……っ(ヤりたい衝動は抑えらんねぇ……頭来る)」
天里は独り言を呟き、ポケットから通信機を取り出した。連絡先は、白城の白者専用保護施設と総合事務所の長、天ヶ瀬伽々里。屈強な白人男性で、白い髪と白色の瞳を持ち、金の羽根ペンを耳に装着したその男は、白者の秩序を司る権力者だ。
「天ヶ瀬長官、天里です。女奴隷兵士を一体、注文したいんですが……」
天里の声は低く、抑え気味だった。天ヶ瀬伽々里の返事は素早く、淡々としたものだった。
「了解した、天里くん。仕様は通常通りかな? 声と生殖機能は予め除去済みだ。翌日の夜に配送する……(昼夜逆転の子か……黒者のファンとか言われてたような……もしかしたら、変異白者って奴かな? よく保安官やってられたね……特別許可あったっけ? ……後で確認するかな)」
通信が切れると、天里は安堵の息を吐いた。女奴隷兵士は、注文以前に予め声と生殖機能が取り除かれ、ただの道具として扱われる存在。だが、天里はそんな彼女たちを丁重に扱う癖があり、それもまた同僚たちから怪しまれる原因だった。
「君、女奴隷に優しすぎない?」「君、何か、初瀬送りマシンとか言われてるね」と聞かれるたび、彼は肩をすくめて「道具を大事に扱うだけさ」と答える。
「……初瀬送りマシンか(処分ってか、あやつらが持ってる技(白光)なんて無いから、人間保安官と同じ手法でやってるだけだよ。どうせ、魔力欠けつマンとか言われっだろうな……)」
彼は、空を見上げて一言吐き、寮へ戻って行った。
翌日の夜、約束通り、寮のドアがノックされた。配送員が運んできたのは、千惺(ちさと)という名前の女奴隷兵士だった。彼女の体は超電磁砲型武器に変形するよう改造されており、全身が武器として機能するよう設計されていた。声を出せない彼女は、ただ無表情に立っていた。天里は配送員を送り出し、部屋のドアを閉めると、千惺をベッドに押し倒した。
「お前、今日から俺のものだ……また、よろしく頼む(何度目か…何故か飽きない。ただ…廃れるのが早すぎるだけだ……)」
彼の白色の瞳が欲情に燃え、千惺の体を貪るように触れた。声を出せない彼女は、ただ体を震わせるだけだった。天里は彼女を犯し、溜まった性欲を一気に解放した。荒々しく、しかしどこか丁重に――彼の変異白者の本能が、黒者のような夜の闇に溶け込んでいった。
その後も、天里と千惺は一日中、下級保安官寮で生活した。昼間は天里が眠る間、千惺は部屋の隅で待機し、夜になると天里の活動に付き従った。同僚たちが寮を訪れるたび、天里の昼夜逆転生活が怪しまれた。
「天里くん、今日も昼寝かい? しかもその女奴隷、なんか大事に扱ってない? 規則違反じゃない?」と尋ねられ、天里は笑って「気のせい……(規則違反……あったな……)道具を長持ちさせるために手入れするだけさ」と誤魔化した。
千惺が廃れないように、天里は毎日手入れを欠かさなかった。夜の活動の合間に、彼女の体を拭き、改造された部位を点検した。超電磁砲の変形機構をチェックし、油を注ぎ、傷がないかを確認する。
「お前、俺の大事なパートナーだ。壊れちゃ困るよな」
天里はそう囁きながら、千惺の肌を優しく撫でた。彼女は声を出せないが、その瞳に微かな反応が浮かぶのを、天里は感じ取っていた。
ある夜、天里は千惺を連れて白城の訓練施設へ向かった。保安官として、奴隷兵士の性能を確認する必要があった。施設の射撃場は無人だった。月光が差し込む中、天里は千惺に命令した。
「変形、超電磁砲」
千惺の体が光に包まれ、全身が巨大な砲台へと変形した。天里はそれを構え、遠くの標的に向けて発射した。轟音とともに電磁波の弾丸が飛び、標的を粉砕した。
「完璧だ。お前、ほんとに強いな」
天里は満足げに頷き、千惺を人間形態に戻すと、彼女を抱きしめた。施設の暗闇で、再び彼の欲情が爆発し、千惺を犯した。性能確認の後、寮に戻った二人は、再び夜の生活に溶け込んだ。
天里の生活は変わらず続いた。昼夜逆転の秘密と、女奴隷への丁重な扱いが、同僚たちの疑念を深めていく中、彼は千惺との絆を深めていった。白城の夜空の下、下級保安官寮は二人の静かな秘密の巣窟となった。変異白者の天里は、黒者のように闇を愛し、千惺を道具以上の存在として守り続けた。