拳の信念と月の絆

バチカルは訓練場の隅で、拳を叩きつけていた。コーディエの言葉が、月の光とともに心に残る。
「力以外で勝てる方法……か。本当に、そんなものがあるのかな?」
彼の直線的な思考が、初めて揺らいだ。拳で粉砕できないもの——それは、心のつながりだった。コーディエのおかげで、バチカルは気づいた。組織の脆さ、策略の影。力だけでは、守れないものがある。
三笠はコーディエを峰打ちで気絶させて、軽々と持ち上げて、白城へ向かっていた。黄金の巨腕が魔法を封じる鎖のように絡みつき、コーディエの碧色の瞳が曇る。
「抵抗しても無駄。君の天性の力は、金血白者を癒す貴重な存在になるから。帰ったら契約だね」
バチカルは追った。無比の身体能力で森を駆け抜け、三笠を待ち伏せた。
「病人め!!! コーディエくんを放せ!!!」
彼の叫びが響く。三笠は歩く足を止め、黄金の巨腕をもう2つ背中から展開した。
「バチカル。力の信奉者ね。…てか、放っておいてくれないかい? 君には一切興味無いの(後で召すかな……いっそのこと、僕らの仲間になればいいのに……)」
戦いが始まった。三笠の背中の巨腕が大地を割り、バチカルを襲う。拳一撃で剣を折るバチカルのパンチが、黄金の装甲を砕こうとするが、巨腕の力は圧倒的。バチカルは傷つきながらも、コーディエの言葉を思い出した。
「力だけじゃない……策だ。心だ!」
彼は巨腕の隙を突き、持久力で耐え抜いた。単純明快な信念が、初めて柔軟さを帯びる。
コーディエは隙を見て月の魔法を放った。光が三笠の黄金の巨腕を包み、金血白者の心を癒す。白色の瞳に、迷いが浮かぶ。
「あぁ、この光ね……好き、落ち着く……(あ…心地良過ぎて…寝ちゃいそう……)」
三笠は背中と両腕の巨腕を収め、背中から羽根を出し去って行った。
「今回だけ特別に逃すね。次は僕以外だから、覚悟して欲しい(これ、富士に丸投げしよ)」
森の奥で、二人は再会した。バチカルはコーディエに拳を差し出し、笑った。
「君の言う通りだ。力以外で勝てると分かったんだ。仲間と一緒なら……だね……(僕に、生まれて初めての友達……奇跡以上だ……)」
コーディエの碧色の瞳が輝き、月の光が二人を照らす。
白城の影は遠くに残ったが、二人はそこへ向かわなかった。新たな道を選び、拳と月の絆で歩み始めた。バチカルの信念は、力の限界を超え、心の強さを手に入れた。