アィーアツブスは、街の中心を巡回する銀警官で、威風堂々たる体躯に双刃の大剣を携えていた。白髪は乱れ気味に流れ、白瞳は常に不安定に揺らめいていた。彼の表情は予測不能で、一瞬で大笑いし、次の瞬間には涙を流す。性格は極端な二面性を持ち、優しさと残虐さが交互に現れる。自己制御が効かず、感情の起伏が周囲の群衆に伝染する能力を持っていた。彼の紋章は分裂する「二つの仮面」――笑顔と涙――で、内心の葛藤を表していた。
「喜びを分かち合おう! いや、待て、すべてが無意味だ……」
彼の言葉は、街の一日を嵐のように変える。喜びの日は祭りのように沸き、怒りの日は暴動が起きる。彼の弱点は、自分の感情に支配され、行動が予測不能になることだった。
今日、彼は金血の黒者、アベンを捕らえた。アベンは灰色の瞳を持ち、国外から薬草を運び、病気の民を癒そうとした。彼の金色の血は、銀の純粋さを乱す異端の証だった。アィーアツブスはアベンを尋問室に連れ込み、最初は優しく笑い、彼の美しさを褒めた。
「お前のような者が、なぜここに? 美しい……」
だが、突然怒りが爆発し、大剣を振り回した。アベンは逃げ惑い、街の民を巻き込んだ。感情の嵐が広がり、市民たちは互いに争い始めた。一人は喜びで踊り、もう一人は怒りで殴り合う。混乱の中で、アベンは薬草を民に投げ、癒しの光を放った。
アィーアツブスは涙を流しながらアベンを斬り捨てた。
「なぜだ……なぜ君はここにきた?」
その日、街は混乱に包まれ、他の銀警官たちが介入した。キムラヌートは物資を独占し、アィーアツブスの感情を「無駄な浪費」と嘲った。アベンの死は、民の間で伝説となり、分裂の兆しが静かに広がり始めた。アィーアツブスの仮面は、ますますひび割れを増した。