へっぽこ魔女と天才魔女のヒミツがヤバすぎた件〜1・山小屋に隠されたナゾ〜

昔の私はこうじゃなかった。それはある取引によるものの他ない。私は能力を使い、異世界の悪商人と契約をした。その悪商人・レミア

・オパールが完全悪人とは言えない。私たちは、、、否、、、私は「契約」を買ったから。誰も買わなかった契約を買ったから。

それは私が感情を感じないようにする代わりにレミアが有り余るほど持っていた魂の欠片をもらうと言うもの。魂の欠片、、否、、魂は

魔女にとって魔力に近いもの。魂に力があればあるほど強い魔法を使うことができる。

でも私にはこの契約が全てにおいて魅力的だった。私がこの契約をしたのはこの世界で10歳(半分成人)の時。その時、私は母を亡

くした。前世の記憶を持っているからか妙に大人びていて奇異だった私にも分け隔てなく接して苦しい時は抱きしめてくれた。予感のな

い心筋梗塞(しんきんこうそく)だった。それが私にはたまらなく苦しかった。でも私の反応は常軌を逸していたと思う。それからレミ

アの計らいによって過去は変わった。前世から私は冷たく、無感情な少女と評されていることになった。世間体はぐっと悪くなったけれ

ど私には快適だった。残ったのは悲しんでいるありあと母が亡くなってもう戻ってこないという淡々としたイメージだけだった。けれど

この感情を完全に封じ込めることはできないのだろう。いつの日か無くした「感情」と言う名の魂の一部は今でも魂、、、、否、、私の

心臓の動力となっている。