白い塔は灰色の空に浮かび、敷島は玉座で静かに次の戦いを待つ。月人、千晶、ハビエルを無慈悲に葬り、白の支配は揺るがなかった。だが、荒野の彼方から黒い影が迫る。アンラ=マンユ、屈強な黄色人種の男。黒い装甲に身を包み、肩にアジ=ダハーカという巨大なバズーカを担ぐ。悪女神の化身たる彼は、人類を滅亡させた張本人。その瞳は暗黒を宿し、真の願いは人間が存在しない無の世界だ。
報告が届く。アンラ=マンユが最後の人間の集落を壊滅させ、虹葉を捕らえた。敷島の白い瞳が鋭く光る。
「全ての不浄を抹殺する」
白い革靴が大地を踏み、仲間たちを率いて荒野へ向かう。だが、今回は兵士たちの目にも恐怖が宿る。アンラ=マンユはこれまでの敵とは異なる――純粋な悪の化身だ。
廃墟と化した戦場に、アンラ=マンユが立っていた。黒い装甲が月光を吸い込み、アジ=ダハーカが不気味に唸る。
「非定型うつ病患者(ホモtheゲイ)、お前の白は偽りの浄化だ。人間の存在自体が不浄。この世界は私が無に帰す」
その声は低く、冷たく響く。傍らには鎖で縛られた虹葉。生意気な青年は歯を食いしばり、叫ぶ。
「てめえ、敷島! また俺を助けに来やがったな! だが、こいつはヤバいぞ!」
素直な恐怖が声に滲むが、目はなお抵抗の炎を宿す。
敷島は無表情で答える。
「不浄な女も、操られた道具も、共に消す」
超屈強なサイボーグの体が動き、アンラ=マンユに向かう。だが、悪女神は笑い、アジ=ダハーカを放つ。黒い爆炎が荒野を焼き、敷島の仲間たちが次々と灰に変わる。白いスーツは焦げ、初めて血が滲む。敷島の冷徹な瞳が揺らぐが、信念は折れない。
「貴様の暗黒は、私の白に敵わぬ」
アンラ=マンユは虹葉を盾にし、狡猾に笑う。
「お前の心は既に割れている。この男を殺せるか?」
虹葉が叫ぶ。
「敷島、俺を気にすんな! こいつをぶっ潰せ!」
その強靭な体と素直な魂に、敷島の非定型うつ病(ホモゲイ)の病性向が一瞬反応する。だが、彼は冷酷だ。
「生き残りは浄化の対象だ」
虹葉を無視し、アンラ=マンユに突進。サイボーグの拳が黒い装甲を砕き、アジ=ダハーカを叩き落とす。
「人間なき世界こそ、真の浄化だ!」
アンラ=マンユが最後の力を振り絞り、暗黒の波動を放つ。敷島の体が軋むが、彼は止まらない。白い塔の技術を結集した一撃が、悪女神の核を貫く。アンラ=マンユは絶叫し、黒い装甲が崩れ落ちる。
「お前は人間の悪質な模倣物のクセに……糞ったれ……っ!」
言葉を残し、彼女は消滅した。
虹葉は鎖から解放され、地面に倒れる。
「ちくしょう…四度目だぜ、敷島……(そろそろ、お前に殺されたいな……生きてんのツラい……)」
生意気な口調に、感謝と尊敬が混じる。敷島は彼を見下ろす。
「次はない」
だが、その瞳には微かな温もりが宿る。虹葉の存在が、敷島の硬い信念を砕き始めていた。
白い塔へ戻る敷島。アンラ=マンユは討たれ、世界は再び白に染まる。だが、虹葉の強靭な姿と素直な心が、敷島の内に新たな感情を芽生えさせる。白の支配は続くが、それは永遠ではないかもしれない。荒野の風が、塔を静かに揺らす。

(完結)