7月2日は朝から快晴だった。ネットで天気予報を確認すると、降水確率がゼロパーセントで、最高気温は30度を上回ると表示されていた。今日も暑くなりそうで思わずため息が出たが、気を取り直して朝食の支度にとりかかった。といっても、いつもと変わらないトーストと目玉焼きとプチトマトとミルクの定番なのだが、それを食べながらNHKにチャンネルを合わせた。
トップニュースは新型コロナだった。再び感染者数が増加し始めていた。5月に入ってから二桁で落ち着いていたが、6月末から100人を超え、累計の感染者数は2万人に、死亡者数は1,000人に近づいており、第二波の恐れがあるとアナウンサーが警戒を呼び掛けていた。
ウイルスは暑さに弱いため夏場になれば感染は落ち着くのではないかとひそかに期待していたが、新型コロナウイルスはそうではないらしい。世界最多の感染者数を記録しているアメリカの中でもフロリダ州が激増しているのだ。5月までは1日の感染者数が2,000人を割っていたのに、6月後半には1万人を超える日が4日連続しており、しかもフロリダの6月の最高気温と東京の8月の最高気温はほぼ同じということを考えると、新型コロナウイルスが高温に弱いという期待は砕かれたことになる。その上、世界の感染者数が20万人を超えて過去最高を記録したというニュースが続いて報じられたので、一気に気分が落ち込んだ。
見る気がしなくなってチャンネルを変えると、民放もニュース番組で、同じように新型コロナ関連だった。しかし、ありがたいことにすぐに経済のニュースに切り替わり、テスラの時価総額がトヨタを抜いて世界1位になったという速報が報じられた。
やっぱり……、
予想通りだったが、なんだかがっかりした。
経営者は何をしているんだろう?
全方位で開発を続けるその姿勢に疑問を持った。オールラウンダ―がスペシャリストに勝てるわけはないのだ。早く手を打たないと大変なことになる。しかし、電気自動車に対する投資を積極的に行う日本企業は皆無に等しく、その決断の遅さが命取りになるのではないかという危惧が膨らむばかりだった。
そんなことを考えているうちに昼になった。頭の中を料理に切り替えて、何を食べたいかお腹に訊くと、ナスとベーコンのトマトソースパスタという返事が返ってきた。了解、と答えて、すぐさま調理を始めた。
量はいつもより少なめにした。夕方からビールを飲むためには昼食べたものを腹に残しておくわけにはいかない。すきっ腹にビールほどおいしい飲み方はないからだ。
さっと食べて、片づけを済ませ、持参するCDとDVDを別々に包装してリボンをかけると、上品なプレゼントに生まれ変わったような気がしてなんだか嬉しくなった。紙袋に仕舞っていると、2人の喜ぶ顔が瞼に浮かんできた。



