時間はじりじりと過ぎていった。富裸豚のことが気になって仕方がないフランソワと玉留は落ち着きなく部屋を歩き回っていたが、何時間経っても捜索隊長からの連絡はなかった。

「何をしているの!」

 玉留のいら立ちが部屋中に響いた。それはフランソワも同じだった。それでも冷静になれという心の声が聞こえた気がして、深呼吸をして心を落ち着けた。すると、ここで待っているだけでは埒が明かないことに気がついた。行動しなければならないのは明白だった。

「僕が行って確かめてきます」

 決意を伝えると、玉留はすぐに首を振った。その手段が思いつかないという。

 しかしフランソワには考えがあった。それを耳打ちすると、「えっ!」と驚きの声を上げた。

 その時、受像機に何かが映った。自己中駄王の側近の姿だった。そして、彼が持つプロ仕様のカメラが大写しになった。

「このカメラを使った暗殺計画のようです」

 捜索隊長の声が震えていた。

「どういうこと?」

「このカメラに特殊な装置が組み込まれていて、フラッシュをたいた瞬間に何かが飛び出すそうなのです」

「何かって何?」

「それが……」

 捜索隊長が口籠ったと同時に映像がプチっと切れた。

「どうしたの?」

「てんとう虫が……」

 ぶんぶん飛び回るてんとう虫をうるさく感じたらしい自己中駄王の側近が叩き潰したようなのだという。

「万事休す!」 

 声を落とした玉留がガクッと膝を折った瞬間、フランソワが血相を変えて部屋を飛び出した。