真実なんてどうでもいい。
私にとって誰が大事で、誰といたいかの方がよっぽど重要だ。
私は瀬織の姉でありたいし、静芽の恋人でありたい。
だったらそれでいいじゃないかと、ようやく安心して笑うことが出来た。
「計画は立てろよ?」
「……はい」
そこは手厳しい。
考えなしに突っ走りすぎだと反省しつつ、勢いは大事だとぐっと気合いを入れなおした。
「弓巫女の龍神は、水龍だ」
「水龍……」
「……俺も龍神と向き合わないとな。刀巫女の……風龍と」
刀巫女も口伝が途切れ、当主は分家の者が代理でついている。
前当主は天野 鈴里。
「どうして私、お母さま(あやこ)に育てられたんでしょう。どうして私と瀬織は……」
双子として今日まで至った?
見た目は似ていなくても、極めてめずらしいオッドアイだったから疑わなかった。
静芽と瀬織の母親は共通して白峰 亜矢子、父が異なる異父兄妹だ。
なら私はいったいどこから来たのだろう?
刀巫女が母親だとして、この情報から考えられるのは一人だけだ。
「鈴里さまが私の本当のお母さまですか?」
私の母(すずり)が口伝を次の人に伝えずにいるはずがない。
もう……会うことも出来ない私のお母さま。
二人のお母さまたちと、これほど話がしたいと思ったことはなかった。
「二人がなぜ、どんな偽装をしたのか――」
――ピリッ……と、静芽の言葉に上書きするように肌に針が刺さる痛みが走った。
バルコニーのガラス扉がカタカタと揺れ、室内の照明が点滅を繰り返す。
やけに大きく見える月が窓に写り、禍々しい赤色となってガラスを割った。
「菊里っ!!」
静芽が私に覆いかぶさり、背後でガラスの破片が飛び散る光景を見た。
派手な音に静芽はすぐさま私を抱きかかえて上空に避難する。
直後、私たちの立っていた位置に巨大な水の塊が飛んできて、バルコニーに穴を開けた。
寸でのところで避けたが、当たっていればたまったもんじゃないと冷や汗をかく。
「こんばんは。今日は月がキレイね」
月をバックに足を組み、ふっくらとした唇を舌でペロリと舐める。
なまめかしい声の持ち主に目を向けると、銀色の髪に、空のような瞳が夜に浮かんでいた。
お屋敷のあかりが女性の透きとおるような色白の肌に暖色を添えていた。
私にとって誰が大事で、誰といたいかの方がよっぽど重要だ。
私は瀬織の姉でありたいし、静芽の恋人でありたい。
だったらそれでいいじゃないかと、ようやく安心して笑うことが出来た。
「計画は立てろよ?」
「……はい」
そこは手厳しい。
考えなしに突っ走りすぎだと反省しつつ、勢いは大事だとぐっと気合いを入れなおした。
「弓巫女の龍神は、水龍だ」
「水龍……」
「……俺も龍神と向き合わないとな。刀巫女の……風龍と」
刀巫女も口伝が途切れ、当主は分家の者が代理でついている。
前当主は天野 鈴里。
「どうして私、お母さま(あやこ)に育てられたんでしょう。どうして私と瀬織は……」
双子として今日まで至った?
見た目は似ていなくても、極めてめずらしいオッドアイだったから疑わなかった。
静芽と瀬織の母親は共通して白峰 亜矢子、父が異なる異父兄妹だ。
なら私はいったいどこから来たのだろう?
刀巫女が母親だとして、この情報から考えられるのは一人だけだ。
「鈴里さまが私の本当のお母さまですか?」
私の母(すずり)が口伝を次の人に伝えずにいるはずがない。
もう……会うことも出来ない私のお母さま。
二人のお母さまたちと、これほど話がしたいと思ったことはなかった。
「二人がなぜ、どんな偽装をしたのか――」
――ピリッ……と、静芽の言葉に上書きするように肌に針が刺さる痛みが走った。
バルコニーのガラス扉がカタカタと揺れ、室内の照明が点滅を繰り返す。
やけに大きく見える月が窓に写り、禍々しい赤色となってガラスを割った。
「菊里っ!!」
静芽が私に覆いかぶさり、背後でガラスの破片が飛び散る光景を見た。
派手な音に静芽はすぐさま私を抱きかかえて上空に避難する。
直後、私たちの立っていた位置に巨大な水の塊が飛んできて、バルコニーに穴を開けた。
寸でのところで避けたが、当たっていればたまったもんじゃないと冷や汗をかく。
「こんばんは。今日は月がキレイね」
月をバックに足を組み、ふっくらとした唇を舌でペロリと舐める。
なまめかしい声の持ち主に目を向けると、銀色の髪に、空のような瞳が夜に浮かんでいた。
お屋敷のあかりが女性の透きとおるような色白の肌に暖色を添えていた。



