静芽が声を荒げ、押しつぶすように私を強く抱きしめる。
背伸びをしていたせいで、足元が不安定で、静芽の胸に体重がのってしまう。
圧迫される苦しさにだんだんと泣きたくなって、着物の衿もとをより一層強く握った。
「やだ。やだ、だって私、静芽さんが……」
「違うんだ! ……俺と菊里はちがう」
なにがなんだかわからない。
私は何を知りたかったのかさえ、言葉にできず首を横に振る。
静芽はもの切なそうに微笑み、私の後頭部に手をまわして半渇きの髪をかきよせた。
「最初は俺も驚いたさ。そんなの認められるかと」
吐く息の量が多い。
静芽が悩みながらもきちんと伝えようと、がんばってくれている。
だんだんと私も落ちつきを取り戻し、しっかり聞こうと静芽の手に頬擦りをした。
「菊里と出会って疑問に思ったんだ。なぜ、弓巫女が鞘を抜けたんだって」
「……どうして?」
不安な気持ちが視界をにじませる。
「菊里は刀巫女だ。だったら母親が刀巫女だろうと。……白峰 亜矢子は菊里と血が繋がっていないんだ」
「うそ……」
信じたくない……と、私は止まらない涙をそのままに「うそだ」と何度も否定した。
母の笑顔を思い浮かべては、遠ざかる背中に視界がにじむ。
弱り果てた私に静芽は絶対に目を反らさないと、一途に視線をあわせてきた。
焦りの交じる声が耳をかすめる。
「血は繋がっていなくても、白峰 亜矢子は菊里の母親だ! 妹も、菊里の妹だ!」
(瀬織……! 私の双子の妹……。私は瀬織のお姉ちゃん……)
まったく似ていない。
オッドアイがなければ誰も双子と思わない”優秀な妹”と”不出来な姉”。
そもそも血の繋がりがないのだから、似ているはずもなかった。
もしそれを瀬織が知っていたとすれば――?
私を毛嫌いするのも当然だ。
母親を独占した”姉を語る能無し巫女”だから。
背伸びをしていたせいで、足元が不安定で、静芽の胸に体重がのってしまう。
圧迫される苦しさにだんだんと泣きたくなって、着物の衿もとをより一層強く握った。
「やだ。やだ、だって私、静芽さんが……」
「違うんだ! ……俺と菊里はちがう」
なにがなんだかわからない。
私は何を知りたかったのかさえ、言葉にできず首を横に振る。
静芽はもの切なそうに微笑み、私の後頭部に手をまわして半渇きの髪をかきよせた。
「最初は俺も驚いたさ。そんなの認められるかと」
吐く息の量が多い。
静芽が悩みながらもきちんと伝えようと、がんばってくれている。
だんだんと私も落ちつきを取り戻し、しっかり聞こうと静芽の手に頬擦りをした。
「菊里と出会って疑問に思ったんだ。なぜ、弓巫女が鞘を抜けたんだって」
「……どうして?」
不安な気持ちが視界をにじませる。
「菊里は刀巫女だ。だったら母親が刀巫女だろうと。……白峰 亜矢子は菊里と血が繋がっていないんだ」
「うそ……」
信じたくない……と、私は止まらない涙をそのままに「うそだ」と何度も否定した。
母の笑顔を思い浮かべては、遠ざかる背中に視界がにじむ。
弱り果てた私に静芽は絶対に目を反らさないと、一途に視線をあわせてきた。
焦りの交じる声が耳をかすめる。
「血は繋がっていなくても、白峰 亜矢子は菊里の母親だ! 妹も、菊里の妹だ!」
(瀬織……! 私の双子の妹……。私は瀬織のお姉ちゃん……)
まったく似ていない。
オッドアイがなければ誰も双子と思わない”優秀な妹”と”不出来な姉”。
そもそも血の繋がりがないのだから、似ているはずもなかった。
もしそれを瀬織が知っていたとすれば――?
私を毛嫌いするのも当然だ。
母親を独占した”姉を語る能無し巫女”だから。



