父の道頼に呼びだされ、瀬織と並んで正座する。

何度も繰り返してきたことだが、父と向き合うのは好きになれない。

さっさと終われ、と反骨精神に眉をひそめていると、父と目があってしまい、決まり悪さに目を反らした。

父はため息をつき、瀬織と向き合って口を開く。

あからさまな一面は反吐が出ると、顔に出さないように悪態をついた。

「他家の巫女が対応していたが、こちらに救援を求めてきた。帝都近辺の川が氾濫したようで手が回らないそうだ」

「その氾濫はあやかしの仕業でしょうか?」

「うむ。ハッキリとしたことはわからぬが、並みの巫女では歯が立たないと」

(そっか。それで瀬織に話が回ってきたのね)

なかなか厄介そうだと、何のあやかしかを想像して対処を考えてみる。

「わかりました。他家で厳しいとなればわたくしが対応するしかないでしょう」

「数が多い。菊里にも出てもらう」

父の指名にホッと安堵する。

瀬織と行動できないことも多々とあるので、いっしょに行く許しが出来たときは、父をおだやかに見ることが出来た。

頬の緩みを引き締め、シャキッと背を伸ばす。

着実に力がついてきている今、少しでも多く瀬織と戦える機会がほしかった。