私の生きる意味。
世界で一番いとおしい妹。
母の形見に守ると誓った。
弓を握れないのは悔しくて、生き恥をさらすようなものだが、それよりも優先すべき想いがある。
瀬織を守れるくらい強くなれるなら、命を賭す覚悟で剣を握るだけ。
当主への挨拶として、静芽とともに畳の間に入る。
父は静芽を見て目を見張るだけで、言及しようとはしなかった。
静芽がここに住まうことを了承し、さっさと部屋を出るよう振り払われてしまう。
あっさりと許され、私は拍子抜けして部屋までの道を歩く。
剣は静芽が持ち、父にばれないように隠した。
娘がいきなり天狗のあやかしを連れ、一緒にがんばりますと言って何も言わないとは、よほど私に興味がないらしい。
父の関心事項は弓巫女の当主として鼻高々に生きられるかどうか。
無能な私の行動は瀬織のおまけ程度。
(別にいいわ。私だって父上のこと、どうでもいいもの。プライドだけ高い)
何代にもわたって続いてきた家系だからこそ、周りに特別視され、目に見えないものが肥大した。
それが父という当主に執着する化け物を生み出した。
「あれは本当に父親か?」
静芽が困る疑問を投げてくるので答えに悩んでしまう。
とりあえず笑顔をはりつけておくかと、お得意の誤魔化しで頬をかいた。
「そうですよ。私は離れで育ったので父上とあまりお話する機会がなかったんです」
「それであの態度か?」
「……父上は口下手なので」
最初は父に愛されていないことに心を痛めた。
それも今は過去のこと……。
(今はずっと地獄に落ちろとしか思ってない。……最低な娘)
今の私は父に対して軽蔑しかない。
ただの”当主”という装置でしかないので、お互いさま。
能無し巫女は当主にも見放された存在。
私もとっくに見放しているので、おあいこだと割りきれるが、外様巫女に指をさされるのは負けに近い感覚がある。
静芽がいたところで、彼らには何の変化もないのだと嘲笑われている気分だった。
世界で一番いとおしい妹。
母の形見に守ると誓った。
弓を握れないのは悔しくて、生き恥をさらすようなものだが、それよりも優先すべき想いがある。
瀬織を守れるくらい強くなれるなら、命を賭す覚悟で剣を握るだけ。
当主への挨拶として、静芽とともに畳の間に入る。
父は静芽を見て目を見張るだけで、言及しようとはしなかった。
静芽がここに住まうことを了承し、さっさと部屋を出るよう振り払われてしまう。
あっさりと許され、私は拍子抜けして部屋までの道を歩く。
剣は静芽が持ち、父にばれないように隠した。
娘がいきなり天狗のあやかしを連れ、一緒にがんばりますと言って何も言わないとは、よほど私に興味がないらしい。
父の関心事項は弓巫女の当主として鼻高々に生きられるかどうか。
無能な私の行動は瀬織のおまけ程度。
(別にいいわ。私だって父上のこと、どうでもいいもの。プライドだけ高い)
何代にもわたって続いてきた家系だからこそ、周りに特別視され、目に見えないものが肥大した。
それが父という当主に執着する化け物を生み出した。
「あれは本当に父親か?」
静芽が困る疑問を投げてくるので答えに悩んでしまう。
とりあえず笑顔をはりつけておくかと、お得意の誤魔化しで頬をかいた。
「そうですよ。私は離れで育ったので父上とあまりお話する機会がなかったんです」
「それであの態度か?」
「……父上は口下手なので」
最初は父に愛されていないことに心を痛めた。
それも今は過去のこと……。
(今はずっと地獄に落ちろとしか思ってない。……最低な娘)
今の私は父に対して軽蔑しかない。
ただの”当主”という装置でしかないので、お互いさま。
能無し巫女は当主にも見放された存在。
私もとっくに見放しているので、おあいこだと割りきれるが、外様巫女に指をさされるのは負けに近い感覚がある。
静芽がいたところで、彼らには何の変化もないのだと嘲笑われている気分だった。



