藤に隠すは蜜の刃 〜オッドアイの無能巫女は不器用な天狗に支えられながら妹を溺愛する〜

ずっと眼帯をしているせいで視力が右と左で異なる。

左目はぼんやりして、輪郭は不鮮明になりがちだ。

(私と瀬織、似てるのがこれだけなんてね)

うれしいような、さみしいような。
他があまりに共通点がなさすぎて涙が出そうになる。

ポジティブなとらえ方をすれば、自分に似ていないからこそ愛おしさが増した。

比例して自己嫌悪もいっしょに推移していくが。

「戻ろう!」

そう言って私は左目に眼帯を付けなおす。

瀬織はもう白峰家に戻っているはずだ。

責任感の強い瀬織は、外様巫女たちの安全を優先するとわかっている。

瀬織の優先順位に私は候補に入っているか。

いや、きっと入っていない。

それでもいいと、覚悟して私は瀬織を一途に想っている。

虚しさを覚えてしまうのは、目標があまりに遠すぎるから。

(このままでいいの? こんなに弱いと……)

いつまで経っても瀬織と肩を並べられない。

ましてや守りたいなんて、どれほど無謀なことを口にしているのか。

不安は閉じ込めて、口では自信があるように不屈を語る。

そう簡単には割れない強化ガラス、一度割れれば修復が難しかった。


(剣……か)

他の武器を持てばもしかして……と期待して雑念をはらう。

弓巫女の筆頭家門である以上、私は弓以外を握れない。

筆頭家門としての矜持、他の家門に隙を与えないため。

かろうじてバランスをとる三大家門。

厄介な芽は最初から摘まんでおかなくては、対立のきっかけになってしまう。

期待しても無駄なことだ。
弓を使うたびに傷つき、皮の厚くなった手を見下ろして、から笑いをした。