「お前らと比較された屈辱! 鈴里! お前は刀巫女として優秀だった! 幼なじみなのにお前はいつも巫女の頂点に立っていた!!」
次に怒声が向けられたのは相良だ。
「お前と出会ったこと、今でも忌々しく思う! お前は亜矢子を奪った! 亜矢子は俺の婚約者だったのに!! お前が! お前が全部壊した!!」
それが殺害に至った理由。
ようやく父の劣等感が見えてきた。
父と母・亜矢子、鈴里は幼なじみであり、優秀な巫女二人と無能の男だった。
筆頭家門という点で鈴里に劣等感を抱き、亜矢子に対しては恋心を抱いていた。
役立たずでも、能力の高い亜矢子を娶って筆頭家門を繋ぐ。
そう考えていたのだろう。
――天狗の相良が現れるまでは。
「残念だったな! 俺ははじめからお前がダイキライだった! 友情なんてあるわけないだろう!」
何も見えない。
それなのにどうしてか、相良の悲しみが伝わってきた。
父の言葉に傷ついているのだろう。
相良は死ぬ間際まで、父との友情を信じていた。
信頼する友人だったから、相性の悪い海に近づいた。
なぜ、珊瑚の指輪を持っていたのか。
それだけがわからないが、相良は海で亡くなった原因が判明し、悲痛さに涙が溢れた。
「壊れてしまえ、そう思った。こんな苦しみを与えた巫女なんて滅べばいいと! 姉上、あなたはいつも俺を憐れんでいた! 大した力もないくせに……。なにが筆頭家門だ! 終わらせてやる! 全部消してやろうと思ったさ!」
今度は私たちの叔母であり、父の姉から憂いが届いた。
筆頭家門として当主の座についたものの、能力面から自信がなかったようだ。
その後ろめたさに、父が弓巫女を終わらせると当てつけで殺害に至った。
父ははじめから、弓巫女の衰退を望んでいたと判明した。
その後、母の亜矢子は白峰家に嫁いだ。すでに相良は亡くなっており、静芽を出産してすぐのことであった。
静芽は鈴里に託され、ひっそりと生き永らえた。
次に怒声が向けられたのは相良だ。
「お前と出会ったこと、今でも忌々しく思う! お前は亜矢子を奪った! 亜矢子は俺の婚約者だったのに!! お前が! お前が全部壊した!!」
それが殺害に至った理由。
ようやく父の劣等感が見えてきた。
父と母・亜矢子、鈴里は幼なじみであり、優秀な巫女二人と無能の男だった。
筆頭家門という点で鈴里に劣等感を抱き、亜矢子に対しては恋心を抱いていた。
役立たずでも、能力の高い亜矢子を娶って筆頭家門を繋ぐ。
そう考えていたのだろう。
――天狗の相良が現れるまでは。
「残念だったな! 俺ははじめからお前がダイキライだった! 友情なんてあるわけないだろう!」
何も見えない。
それなのにどうしてか、相良の悲しみが伝わってきた。
父の言葉に傷ついているのだろう。
相良は死ぬ間際まで、父との友情を信じていた。
信頼する友人だったから、相性の悪い海に近づいた。
なぜ、珊瑚の指輪を持っていたのか。
それだけがわからないが、相良は海で亡くなった原因が判明し、悲痛さに涙が溢れた。
「壊れてしまえ、そう思った。こんな苦しみを与えた巫女なんて滅べばいいと! 姉上、あなたはいつも俺を憐れんでいた! 大した力もないくせに……。なにが筆頭家門だ! 終わらせてやる! 全部消してやろうと思ったさ!」
今度は私たちの叔母であり、父の姉から憂いが届いた。
筆頭家門として当主の座についたものの、能力面から自信がなかったようだ。
その後ろめたさに、父が弓巫女を終わらせると当てつけで殺害に至った。
父ははじめから、弓巫女の衰退を望んでいたと判明した。
その後、母の亜矢子は白峰家に嫁いだ。すでに相良は亡くなっており、静芽を出産してすぐのことであった。
静芽は鈴里に託され、ひっそりと生き永らえた。



