藤に隠すは蜜の刃 〜オッドアイの無能巫女は不器用な天狗に支えられながら妹を溺愛する〜

風龍の問いに戸惑い、答えられずにいると瀬織が腕を盾にし、一歩前に出る。

「風龍さま、失礼します。あたしは弓巫女の者です。その質問に対しての答えですが、言い伝えは歪む……という認識でよろしいでしょうか?」

「せぇかいー! 瀬織、優秀! 菊里、ポンコツ!!」

つくづく私は下に見られているようだが、風龍に何かしただろうか。

正しい継承が出来なかった時点で、風龍にとって刀巫女は守るに足らずの存在になったのかもしれない。

口伝が途切れたのは弓巫女も同じだが、風龍の管轄ではないので寛容なのだろう。

「武器を継承する時、龍と巫女は大事な大事な約束を交わすの。伝えるべきことが歪まないように。ちゃ~んと顔合わせをすることが大事なんだよォ」

それを守れないようでは巫女の資格なし。

龍たちは筆頭家門の必然性をそうして判断するようだ。

龍たちからすれば私たちは約束を先に破った裏切り者でしかない。

「鈴里はわざと静芽に剣を渡した。アタシがそっちにいけないと知ってて返さなかった」

返さなかったことで口伝が途切れた。

仮にそうだとして、私が鞘を抜けたのは口伝と関係ないのだろうか?

風龍に返さなくても使い手がいるならば、大して問題がないように思えるが……そんな簡単な話ではないと示すのが弓巫女だ。

巫女の血が途絶える。
口伝が途切れる=約束を破った。

一時的に私が剣を扱えても、次には繋がらないと考えるべきだろう。

軽率なことが多く、風龍に怒られても仕方のないこと。

このまま風龍を怒らせては刀巫女も衰退の一途をたどる。

それは避けたい問題だ。
三大家門で起きた問題は、必然的に弓巫女当主になる瀬織に面倒をかけてしまうから。

私は私の意志を貫く。
瀬織の姉として、刀巫女として、何がなんでも風龍から口伝を受け取って見せる。