藤に隠すは蜜の刃 〜オッドアイの無能巫女は不器用な天狗に支えられながら妹を溺愛する〜


(そんなことはどうでもいい。私は大罪がどうだとか、どうでもいいから!)

「――どうして、泣くの? あたし、ずっと黙ってたのよ? 刀巫女として活躍する道もあったのに、あたしの勝手で能無し巫女と呼ばれて……!」

(そんなのどうでもいいんだよっ!!)

私はテーブルに片膝をつき、無我夢中になって瀬織を抱き寄せる。

「瀬織のいない人生よりずっといい! 瀬織が生きててよかった! 私にとってそれが一番の幸せだよ!」

「なんでっ! そもそもあたしが死んでたらあたしを認識することもなかった!」

それは理屈の話。

私が言いたいのは、いつだって瀬織への愛だ。

死ぬ、死なないではなく、私の世界は瀬織がいてはじめて成り立つんだってことを伝えたい。

「瀬織がいることが何よりもの真実。私は絶対に瀬織を選ぶ。絶対に守る」

”あなたのいない人生なんて許さない”

”それが私の選んだ運命”

「私は瀬織のお姉ちゃんだから! お姉ちゃんは妹を守る!」

「バカ……。バカね、本当に」

決して涙を見せない瀬織の頬に、一筋涙が伝った。

それはまるでテラスの上で輝く月が落とした雫のよう。

強がってばかりの妹の涙をぬぐえるお姉ちゃんになりたい。

守りたいという想いは、瀬織の支えになるという意味も込められているから。

「大丈夫。私が瀬織を守るよ。……瀬織の目標は、私の夢だから」

泣くときも、気持ちは分け合いたい。
瀬織の心を理解したいと思う気持ちは永遠。