で、
鳥居はアーッサリと2等を当てた。
ついでのように1等まで掻っ攫った。
3等の『和牛詰め合わせギフト』まで当ててきた。
おっちゃんがノリノリのDJみたいに鐘を鳴らしまくっていた。
でも鳥居は無表情のまま玉を見つめている。
何このカオスな抽選会会場。おっちゃんと鳥居の温度差が
シュールな笑いを生み出している。
そして鳥居は自転車を押し、前カゴに和牛を乗せ、
ご招待券を持って帰ってきた。
そして「樺にやる」と手渡してきた。
オレは怒った。
「オマエの人生にはヒネリが無い!!!!!!!」
「?????」
鳥居は驚いていたが、ここでオマエもテイッシュを
持って帰ってくるとか、怪力で抽選器を壊すとか
期待を裏切る展開があってもいいだろ!
そしたら『オマエにも苦手な分野があるんだな……ほら、
涙拭けよ』って、まりもっこりのティッシュとか差し出すのに!
ってムチャクチャ言ったら、鳥居が
『そうだな。全部返してくる』とUターンしだした。
「待て待て待て待てー!」
オレは慌てて鳥居の腕を掴んだが、怒りに駆られた王蟲の
ように鳥居は止まらない。引きずられるオレ。
オレはナウシカの気分をプチ体験した。
鳥居は真顔で「樺に涙とか拭いてもらいたい」とか言ってる。
しかも、ちょっと頬とか染めてる!
「オレが拭くとか一言も言ってねえ!」
「そうか……」
「無表情でガッカリするなよ! オマエ、ちょっとは
大当たりを喜べよ!」
「別に嬉しくない」
「何でだよ!?」
「クジで外れた事が無いからつまらない。おれもテイッシュとか
アメ玉を当てたい」
何よ! ふざけないでよ! その余裕が許せないのよ!
とオレは前回出て来たオカマ(コーシ)のような口調になっていた。
大当たりを全て当ててくるとか、女子やオカマだけじゃなく
運命の神にも惚れられてるとか、何者なんだよオマエ!!!!
オレは嫉妬のあまり鳥居の肩や腕をバッシバシ叩いた。
鳥居は「樺の気が済むなら、それでいい」と耐えていた。
まるでオレがドSで、オマエがドMみたいじゃないか。やめて。
そんなこんなで、オレの鳥居いじめが一通り終わった頃、
『とりあえず自転車の練習しようぜ!』って話になった。
自転車の前カゴと後ろのカゴ(高級自転車のハズなのに、
何故後ろにカゴをつけているのか……)に和牛と、商店街で買った
今日の夕飯のすき焼きの材料を積んで、近所の空き地へ行った。
まるでドラえもんに出てくるような、土管が転がった空き地で
オレと鳥居は向かい合った。
「まあ、どうせ鳥居は直ぐに自転車に乗れるだろうけど、
一応練習しておこうぜ」
「ああ」
「そう言えば、鳥居は一輪車にも乗った事が無いのか?」
何となく質問してみると、鳥居はイヤそうな顔をした。
「……小学生の時、浩志に背後から一輪車で激突されて
ヒアシンス畑に突っ込んだ」
ああ……トラウマになったんだな……。オカマに背後から
玉突き衝突されたら、そりゃあ心に傷を負うよな……
ていうか、オマエ、チューリップ畑だのヒアシンス畑だの、
畑系によく落ちるな。
そう思っていたら、鳥居は苦々しく呟いた。
「昼休みにジャガイモ畑の世話をしていたら、浩志が
背中にホースで水を入れてきて、畑に倒れこんだ」
「それはキレるな」
「エンドウ豆畑では膝に手刀を入れられて、顔面から転んだ」
「それ、いじめなんじゃないか?」
「イラッとした」
「オマエ、畑が鬼門になってるな」
「ああ。将来は畑の無い土地に暮らす」
鳥居の将来のプランを聞いた所で、自転車練習が始まった。
鳥居はアーッサリと2等を当てた。
ついでのように1等まで掻っ攫った。
3等の『和牛詰め合わせギフト』まで当ててきた。
おっちゃんがノリノリのDJみたいに鐘を鳴らしまくっていた。
でも鳥居は無表情のまま玉を見つめている。
何このカオスな抽選会会場。おっちゃんと鳥居の温度差が
シュールな笑いを生み出している。
そして鳥居は自転車を押し、前カゴに和牛を乗せ、
ご招待券を持って帰ってきた。
そして「樺にやる」と手渡してきた。
オレは怒った。
「オマエの人生にはヒネリが無い!!!!!!!」
「?????」
鳥居は驚いていたが、ここでオマエもテイッシュを
持って帰ってくるとか、怪力で抽選器を壊すとか
期待を裏切る展開があってもいいだろ!
そしたら『オマエにも苦手な分野があるんだな……ほら、
涙拭けよ』って、まりもっこりのティッシュとか差し出すのに!
ってムチャクチャ言ったら、鳥居が
『そうだな。全部返してくる』とUターンしだした。
「待て待て待て待てー!」
オレは慌てて鳥居の腕を掴んだが、怒りに駆られた王蟲の
ように鳥居は止まらない。引きずられるオレ。
オレはナウシカの気分をプチ体験した。
鳥居は真顔で「樺に涙とか拭いてもらいたい」とか言ってる。
しかも、ちょっと頬とか染めてる!
「オレが拭くとか一言も言ってねえ!」
「そうか……」
「無表情でガッカリするなよ! オマエ、ちょっとは
大当たりを喜べよ!」
「別に嬉しくない」
「何でだよ!?」
「クジで外れた事が無いからつまらない。おれもテイッシュとか
アメ玉を当てたい」
何よ! ふざけないでよ! その余裕が許せないのよ!
とオレは前回出て来たオカマ(コーシ)のような口調になっていた。
大当たりを全て当ててくるとか、女子やオカマだけじゃなく
運命の神にも惚れられてるとか、何者なんだよオマエ!!!!
オレは嫉妬のあまり鳥居の肩や腕をバッシバシ叩いた。
鳥居は「樺の気が済むなら、それでいい」と耐えていた。
まるでオレがドSで、オマエがドMみたいじゃないか。やめて。
そんなこんなで、オレの鳥居いじめが一通り終わった頃、
『とりあえず自転車の練習しようぜ!』って話になった。
自転車の前カゴと後ろのカゴ(高級自転車のハズなのに、
何故後ろにカゴをつけているのか……)に和牛と、商店街で買った
今日の夕飯のすき焼きの材料を積んで、近所の空き地へ行った。
まるでドラえもんに出てくるような、土管が転がった空き地で
オレと鳥居は向かい合った。
「まあ、どうせ鳥居は直ぐに自転車に乗れるだろうけど、
一応練習しておこうぜ」
「ああ」
「そう言えば、鳥居は一輪車にも乗った事が無いのか?」
何となく質問してみると、鳥居はイヤそうな顔をした。
「……小学生の時、浩志に背後から一輪車で激突されて
ヒアシンス畑に突っ込んだ」
ああ……トラウマになったんだな……。オカマに背後から
玉突き衝突されたら、そりゃあ心に傷を負うよな……
ていうか、オマエ、チューリップ畑だのヒアシンス畑だの、
畑系によく落ちるな。
そう思っていたら、鳥居は苦々しく呟いた。
「昼休みにジャガイモ畑の世話をしていたら、浩志が
背中にホースで水を入れてきて、畑に倒れこんだ」
「それはキレるな」
「エンドウ豆畑では膝に手刀を入れられて、顔面から転んだ」
「それ、いじめなんじゃないか?」
「イラッとした」
「オマエ、畑が鬼門になってるな」
「ああ。将来は畑の無い土地に暮らす」
鳥居の将来のプランを聞いた所で、自転車練習が始まった。



