次の日、街から天ヶ瀬の姿は消えていた。誰も彼のことを覚えていない。まるで最初から存在しなかったように。

まめっちは公園のベンチに座り、空を見上げた。久しぶりに頬を伝う温かいものを感じた。

「……涙!?」

アトムがそっと隣に現れ、羽衣でまめっちの涙を拭った。

「悲しみも、大事な感情だよ」

まめっちは泣きながら笑った。

「……ありがとうございます、アトムさん!」

アトムはにっこりと笑い、羽衣を風になびかせながら光の中に消えていった。

(終わり)