一年後——
瑠璃は男装をやめ、女性らしい服に身を包んでいた。彼女は不知火と共に、「統合管理機構」で働いていた。白者と黒者が協力し、新たな秩序を築くための組織だ。かつての敵同士が、同じ目標に向かって汗を流していた。

白夜は機構の中心人物として、和平を進めるために奔走していた。恋人と家族を失った過去は、彼の心に深い傷を残していたが、その痛みを力に変え、誰もが共存できる世界を目指していた。
ある日、白夜は不知火と瑠璃に歩み寄り、静かに言った。

「君たちのおかげだ。愛が憎しみを乗り越える可能性を、僕に教えてくれた」

瑠璃は笑顔で答えた。

「貴方も同じよ、白夜さん。過去の痛みを乗り越えて、愛を選んだんだから」

白夜はふっと笑い、空を見上げた。その瞳には、かつての冷酷さはなく、未来への希望が宿っていた。
空を舞う瑠璃のマントは、もはや戦いの象徴ではなく、希望の翼だった。黒も白も関係なく、ただ人として生きる——それが新しい世界の始まりだった。
不知火と瑠璃は手を繋ぎ、空を見上げる。

「ありがとう、瑠璃」不知火の声は穏やかだった。

「何が？」瑠璃が首をかしげる。

「俺を救ってくれたこと。…そして、愛を教えてくれたこと」

瑠璃は照れくさそうに笑った。

「私もよ。アンタに愛を教えてもらったんだから」

二人の愛は、世界を変える力を持っていた。それは白夜の心をも変え、多くの人々を救う希望の光となっていた。
黒煙の中を舞う翼は、戦いのためではなく、未来を切り開くために羽ばたいていた。

——完——