「断る」

不知火の答えに、白夜は肩をすくめた。

「残念。では力ずくで——」

白夜が合図すると、周囲の白者たちが一斉に動き出す。しかし瑠璃のマントが風を切り、彼女の体が宙に舞い上がった。

「不知火! 私がカバーする!」

瑠璃の華奢な体からは想像できないほど俊敏な動きで、白者たちを蹴り倒していく。柔道で鍛えた体術が冴え渡る。

一方、不知火の黒液が戦場を支配していく。しかし敵の数は多く、次第に劣勢に追い込まれていった。

「瑠璃、逃げろ!」

「嫌よ! アンタを置いて逃げるだなんて!」

その時、瑠璃の体に白者の一撃が直撃した。彼女が地面に倒れる。

「瑠璃!」

不知火の理性が吹き飛んだ。黒液が爆発的に拡散し、周囲の白者たちを呑み込んでいく。