翌日、二人の元に情報がもたらされた。白者が黒者の子供たちを人質に取り、不知火の投降を要求しているというのだ。

「罠だ」不知火が即答する。

「分かってる。でも…」瑠璃は唇を噛んだ。「子供たちに罪はない」

「行くなら一人で行く」

「だめ!」瑠璃が強く首を振る。「一緒に行く。私たちなら何とかできる」

指定された廃棄物処理場に向かう道中、不知火は何度も瑠璃を説得しようとした。しかし彼女の決意は揺らがない。

処理場に到着すると、予想通り白者の部隊が待ち受けていた。そして中央に立つ白夜の姿。

「よく来た、不知火」白夜が手を広げる。「そして瑠璃…君の存在は計算外だったが、むしろ好都合」

「子供たちはどこだ」不知火が低い声で問う。

「安全な場所にいる。ただし——」白夜の目が細まる。「君が僕等に協力することが条件」

「協力だと?」

「君の超強力な黒液の力を使って、残りの黒者たちを始末してもらいたい。そうすれば、この戦争も終わる」

不知火の拳が握られる。黒液が彼の周囲でより激しく蠢き始めた。