秋の陽が、月宮邸の庭を優しく照らしていた。花凜は緊張した面持ちで清真の前に立っていた。
「意識して力を使うのは、初めてです……」
花凜の声には不安が滲んでいた。先日の月宮邸の襲撃の時に力を発揮したものの、あれは緊急事態での無意識の発動。今度は自分の意志で制御する修練だ。
「大丈夫だ。君にはその力が眠っている」
清真の穏やかな声が、花凜の緊張を和らげる。
「まずは、心を静めることから始めよう」
色とりどりに染まり始めた庭で、花凜はそっと目を閉じる。秋の爽やかな風が頬を撫で、心が少しずつ落ち着いていった。
「自分の内側にある光を感じてみるんだ」
清真の導く声に従い、花凜は意識を内に向ける。結界を張った時を思い出すと、胸の奥で力強い鼓動を感じた。
「感じます……あの時よりもはっきりと……」
花凜の両手に、美しい銀色の光が宿り始めた。それは先ほどまでとは比べものにならないほど強く、安定した輝きを放っている。
「よくできた。初めてにしては上出来だ」
清真の声には、心からの賞賛が込められていた。花凜の努力を見守る彼の表情は、彼女の師であり、そして愛する人を見つめる柔らかな眼差しだった。
「清真さまがそばにいてくださると、力が安定するようです」
「君と俺の力は、元は同じ月の光だ。それが君の成長を後押ししているのかもしれない」
秋風に包まれた庭で、二人の新たな歩みが始まっていた。
***
帝都月華に不穏な兆しが忍び寄っていた。月宮邸への襲撃で呼び寄せられた怨霊たちが、呼び水になったのか、街の至るところで結界が崩壊。怨霊の出現が相次いでいた。普段は静かな夜の裏路地で、悲鳴が聞こえるようになった。薄暗い街灯の下で影が揺らめくたび、通行人は足早に通り過ぎる。
花凜は月宮邸から、遠くの灯りを不安げに眺めていた。光の向こうに潜む闇が、いつもより深く、濃く感じられる。そんな彼女の横顔を、清真が静かに見つめていた。
「先日の一件以来、古い封印の力が、弱まっている」
花凜は振り返った。清真の声は落ち着いているようで、その奥に緊張が隠されていることに気づく。彼の蒼い瞳には、彼女にだけ見せる柔らかさと、帝都の守護者としての鋭さが混在していた。
清真が緊急会議から戻ってきたとき、その表情は重々しかった。銀髪が月光を受けて美しく輝く一方で、眉間には深い皺が刻まれている。
「帝都の結界を支える『封印』が弱体化している。特に中央封印の状態が危険だ」
「それで、怨霊を招きやすくなっているのだろう」
清真の言葉に、花凜は小さく頷いた。中央封印――帝都の心臓部に位置する、最も重要な結界。それが危機に瀕しているというのだ。
彼女は清真の瞳をまっすぐに見つめる。その深い蒼の中に、彼女は不安と決意を同時に読み取った。
「来週、中央封印の修復儀式を行う。これは代々の月宮家が担ってきた重要な使命なんだ」
清真の声には重々しさが滲んでいた。彼の肩には、月の神の末裔として背負う目に見えぬ重圧がのしかかっている。
月宮家当主、陰陽寮特別顧問、帝都守護官。
いくつもの肩書きを持つ清真だが、いまの彼の瞳に映るのは、帝都の危機とそれと同時に花凜への想いなのだろう。
そして清真は表情を引き締め、花凜に向き直った。月光が差し込む窓辺で、清真の銀髪がより一層輝きを増した。
「花凜、君の『真月詠み』の力があれば、効果的な浄化と修復が可能になると思う」
「共に帝都を守ってくれないだろうか?」
「私が……ですか!?」
これまでの修練の成果を、ついに試す時が来たのだ。清真が花凜の力を信じ、その機会をくれた。花凜の胸に期待と緊張が交錯する。彼からのその深い信頼が、花凜の胸を温かく満たしていく。
「はい、清真さま。ぜひやらせて下さい。必ず役に立ってみせます」
花凜は決意を込めて頷いた。清真が自分を信じてくれる喜びと、都を守る重責への緊張が胸の内で交錯する。彼女の黒髪が月光を受けて、ほのかに青みがかって見えた。
そんな彼女の表情に、清真は微笑んだ。花凜だけに見せる、柔らかな表情。そのまなざしの奥には、彼女を守りたいという想いと、彼女の力を信じる気持ちが映し出されていた。
清真の視線を受け、花凜の胸の奥が熱くなる。彼の蒼い瞳に映る自分の姿。それが花びらが開くように彼女の心を解き放っていく。その温かな感覚に、花凜は内側から満たされていくのを感じた。
***
藤里家では、花凜の義妹の乙音が不気味な笑みを浮かべていた。窓から差し込む月の光を背に、その姿は危うい陰影を帯びている。
彼女の瞳には狂人のような鈍い光が宿り、指先から漏れる淡い青い霊火が、部屋の闇をおぼろに照らしていた。
「ついに時が来たわね、お母さま」
乙音の声は、もはや以前の彼女ではなかった。蜜のように甘かった声色はかすれ、その顔はおぞましく歪んだ狂気に支配されている。
継母の志津も隣で狂ったように笑っていた。高価な着物に身を包んでいても彼女の姿は、かつての優雅さを失い、貪欲な欲望に歪んでいる。
「そうよ、乙音。花凜が破滅すれば……清真さまも、財産も、名誉も全て私たちのもの」
乙音が懐から小さな呪符を取り出した。部屋の空気が一瞬凍りつき、灯りが揺らめく。触れるだけで指先に冷たい痺れが走る、禁断の術式が込められた紙片だった。
「ようやく、ようやくあの花凜を地獄に突き落とせるのね! 今まで散々苦労した甲斐があったわ!」
唇が邪悪に歪む。その手にある呪符は、強い霊力を持ってなければ扱えない危険な力。それを彼女は、花凜への憎悪のために使おうとしている。
一方、志津は金貨の入った袋を握りしめていた。重い金貨の音が、薄暗い部屋に不吉に響く。その金は、これから花凜に仕掛ける罠の為のもの。
二人はもう狂っていた。花凜への憎悪のため、自分たちの欲望を叶えるためなら、何をしても構わないと信じている。理性は完全に失われ、残ったのは純粋な憎悪だけだった。
***
帝都中央月神殿の封印の儀式、当日がやってきた。会場には重臣や貴族、民衆が集まっていた。都の安全を祈る重要な儀式に、人々の期待は大きく高まっていた。
神殿の壮麗な建築が朝日を受けて輝き、朱塗りの柱が天に向かって伸びる。黄金の装飾が施された軒先が美しい曲線を描いていた。檜造りの本殿は荘厳な威容を誇り、その屋根には神聖な鳳凰の彫刻が施されている。参道には白い玉砂利が敷き詰められ、足音が清らかに響いた。
花凜は華やかな神殿の様子に、少し驚いていた。色とりどりの装束に身を包んだ人々が境内を埋め尽くし、普段の静寂とは打って変わった賑わいを見せている。
「随分と人が多いのですね。封印式典とは、もっと地味なものかと思ってました」
花凜の声には少しの緊張が混じっていた。これほど多くの視線を浴びるのは初めてで、胸の奥がそわそわと落ち着かない。
清真と花凜に同行している執事の葵が、優しく微笑んで応える。
「民衆にとってめったに見れない『月詠み師』は、歌舞伎役者や新劇俳優以上に人気なのですよ。それこそ清真さまの姿絵まで売られています」
葵は苦笑いを浮かべながら言った。実際、神殿の周辺では清真の美しい姿絵を描いた絵葉書や絵草紙が売られ、特に若い女性たちの間で人気を博している。
「そうなんですね。でも、その気持ちは分からなくもないです」
花凜は、周りの陰陽師たちに指示を出している清真の姿を見上げる。
星の欠片を織り上げたような銀の髪、夜明けの空を映した澄んだ蒼い瞳。風と光が作り上げた芸術のような立ち姿。
こんな素敵な方が、自分を半身だと呼んでくださるなんて。そう思うだけで、胸が熱くなる。
儀式が始まる前、清真の式神たちも神殿の片隅で見守っていた。
白猫のユキが小さな金の鈴を鳴らしながら呟く。
「姫さまの初めての大切な儀式、応援しています」
上空を旋回していたクロが、羽を休めて降りてきた。
「まあ、花凜なら問題無いだろうが。念のため見てやろう」
人ほどの大きさもある白いオオカミの天狼が、静かに頷く。
「花凜さまをお守りするのが、我らの務めだ」
地狼が、黒い尻尾を大きく振りながら言った。
「姫ちゃんなら絶対大丈夫だぜ! 俺たちも応援してるからな!」
花凜は式神たちの温かな言葉に、嬉しそうに微笑んだ。
「みんな、ありがとう」
彼女の声は喜びに満ちていた。緊張していた胸の奥が、ふわりと軽やかになっていく。
式神たちの声援に包まれて、花凜は儀式に臨んでいた。
清真と花凜と葵の三人が神殿の石段を上ると、境内は既に式典の装いに包まれていた。朱塗りの回廊に白と紫の幕が優雅に揺れている
「月宮さま、本日はありがとうございます」
神殿の使用人が清真たちに深々と頭を下げる。
「開式までに、まだしばらくございますので、こちらでお待ちください」
使用人に案内され、清真と花凜は控えの間へと向かった。歩きながら、清真が振り返る。
「清真さま、花凜さま。私は式神たちと一緒に待機させていただきます。何かございましたら、すぐにお呼びください」
そう言って、葵は恭しく一礼し、式神たちの方に歩んでいく。神殿の外では、ユキ、クロ、天狼、地狼が待機している様子が見えた。
控えの間は静寂に包まれており、清真と花凜が椅子に腰を下ろすと、前を先導していた使用人が再びこちらに向き直った。
「失礼いたします。こちらでお待ちの間よろしければ、お茶をお持ちいたしましょうか」
その申し出に、清真は軽く手を上げて辞退する。
だが、花凜は使用人の親切心を無碍にするのも申し訳ないと感じた。
「ありがとうございます。私は頂戴いたします」
花凜が穏やかな笑みを浮かべて答えると、使用人は嬉しそうに頷いた。
「かしこまりました。すぐにお持ちいたします」
しばらくして、使用人が繊細な茶器を載せた盆を持って戻ってきた。恭しく茶碗を差し出す。立ち上る湯気と共に、上品な茶の香りが鼻先をくすぐった。花凜が一口含むと、ほのかな甘みが舌に広がる。
ふと、喉の奥に妙な渋みが残った。まるで古い金属を舐めたような、かすかな違和感。花凜は小さく首をかしげたが、目の前の使用人は慈愛に満ちた表情で見守っている。――花凜は気のせいかと思い直した。
だが、茶を飲み終えてしばらくすると、花凜の頬から血の気が引き始めた。額がじんわりと汗ばみ、視界の端がぼんやりと霞んでくる。
「花凜、大丈夫か? 顔色が優れないが」
清真が花凜の傍に身を寄せた。その蒼い瞳には深い心配が宿り、花凜の額にそっと手を当てた。
「少し休んだ方がいいのではないか」
「いえ、大丈夫です。少し緊張しているだけですから」
花凜は微笑みを保とうと、清真に笑顔を作って見せた。しかし体の奥底から這い上がってくる不快感に、内心では眉を寄せていた。めまいが頭を襲い、足元が少しふらつく。それでも清真に余計な心配をかけたくない——その想いが、彼女を支えていた。
「……わかった。君がそういうのならば」
清真は少し迷った後、花凜の決意を尊重することにしたようだった。
「それでは、儀式を始めよう」
清真が中央封印の前に立った。数歩歩いてから、ふと振り返る。花凜の顔色を改めて確認するように、心配そうな眼差しを向けた。彼女が小さく頷いて見せると、清真は封印に向き直った。
古い石造りの封印は、亀裂が入り、力が弱まっているのが分かる。かつて帝都を守った強大な結界も、今は消えかけた炎のように弱々しく揺らめいていた。
「花凜、君の力を貸してくれ」
「はい」
花凜が清真の隣に立つ。二人の間に流れる空気が、周囲と違う密度を持っているように感じられた。
彼らが並んだ瞬間、神殿内の灯火が一瞬明るく揺らめく。二人の影が交わるところに不思議な輝きが生まれた。清真の存在が、彼女の内なる力を呼び覚ましていく。
その二人から少し離れた場所。神聖な儀式の陰で、邪悪な影が蠢いていた。
花凜の義妹が、群衆に紛れてそこに立っていた。なぜか神殿の関係者の装束に身を包んでいる。その顔は嫉妬と憎悪に歪み、もはやかつての美しさは跡形もない。血走った瞳が花凜の姿を見詰め、唇が薄く歪んでいる。
人々が儀式に気を取られている隙を狙い、乙音は自然な動作を装いながら、『封印』へとゆっくりと近づいていく。懐から取り出した呪符を握りしめる手が、抑えきれない興奮で微かに震えていた。
乙音は、封印の基部に呪符をぐっと押し込んだ。彼女の周りの空気がわずかに歪み、陽炎のように揺らめく。
そして、清真の式神たちの鋭い感知能力を逃れるため、仕掛けを施した。――それは呪符から発せられる邪悪な気配を隠蔽する術。
乙音の唇が呪文を無音で紡ぐ。指先から淡い紫の霞が、呪符を包み込んでいく。
術が完成すると、呪符の邪気は完全に遮断された。まるで何事もなかったかのように、式神たちの警戒は呪符を素通りしていく。誰にも怪しまれていない。その瞳には、勝ち誇ったような『勝利の光』が宿っていた。
儀式が始まると、花凜の様子がさらに悪化し始めた。足元がふらつき、額に汗が浮かんでいる。呼吸が浅くなり、心臓が不規則に鼓動しているような感覚が襲ってくる。
「あの月詠み師さま、様子がおかしいような?」
「お顔の色が悪いわね」
小さなざわめきが民衆の間に広がった。花凜を見つめる視線に心配の色が浮かび、人々は首をかしげながら囁き合う。
花凜は必死に意識を保とうとしたが、視界がぼんやりとし始める。手のひらから漏れ出す月光が不安定に揺らめき、本来の清らかな輝きを失っていく。光が弱々しく震え、時として暗く翳った。
体の芯から湧き上がる違和感に、花凜は小さく眉を寄せた。
「どうされたんだろう」
ざわつく会場の不安の囁きが神殿を満たし、民衆の顔に心配の色が浮かんだ。
その時――乙音の唇が、邪悪な微笑を刻んだ。花凜がふらついたタイミングを狙って、彼女の指先に青白い炎が踊る。呪符に込められた術式が、目覚めようとしていた。
パチン! 乙音が術式を発動させた。
ゴオオオオと地の底から響いてくるような不気味な轟音が天地を震わせた。中央封印が砕け散り、千年の歳月を重ねた石が粉々になる。封印の亀裂から黒い霧が立ち上り、神殿の空気を重くしていく。
「封印が……壊れた?!」
「何が起こっているの!」
人々の絶叫がこだまする中、怨霊たちが封印の破れ目から現れ始めた。長い年月封じられていたそれらが、黒い靄のような姿で宙に舞い上がる。彼らは実体を持ち、悲しげな声を響かせながら神殿内を飛び回っていった。
「きゃああああ!」
悲鳴が響き、民衆が慌てて逃げ惑う。神殿が混乱に包まれていく。
「一体、何が起こった」
清真の表情が一変した。彼の瞳に困惑が宿る。その視線が、封印の破れ目から立ち上る黒い霧、飛び交う怨霊、そして苦しむ花凜の姿を捉えた。
清真は素早く花凜の傍に駆け寄った。周囲を見回しながら、安全を確保する。
「花凜!」
清真が花凜の肩を支え、その蒼い瞳で彼女の顔を覗き込む。彼女の青ざめた頬に、優しく手を添えた。
清真の声は普段の落ち着いた響きを失い、明らかに動揺していた。彼がどれほど花凜を大切に思っているかを物語っている。花凜の体調を案じる彼の表情には、心配が浮かんでいた。
そして神殿内の混乱を見渡すと、清真は瞬時に状況を把握し式神たちに指示を出した。
「ユキ、クロ、民衆の避難経路の確保を。天狼、地狼は怨霊の討伐だ」
清真の指示が神殿に響き渡る。騒乱の中、清真の式神たちが主の命令を待つまでもなく、素早く動き出していた。
「はい!」「任せとけ」
白猫のユキが、雪のような毛並みを輝かせながら宙に舞い上がる。彼女の息から生まれる氷の刃が、怨霊を貫き動きを封じていく。
「避難はこちらです、お守りします!」
続いて天狼が低い唸り声を上げた。銀色の巨体が稲妻のように駆け抜け、牙で怨霊を捕らえる。冷静な瞳で敵の動きを読みながら、的確に急所を狙っていく。
「民を守るのが我らの使命。一体も通すな」
地狼は対照的に、野性的な力で怨霊に飛びかかった。黒い毛並みを逆立て、爪と牙で容赦なく襲いかかる。その勢いは嵐のように激しく、怨霊たちを圧倒していく。
「化け物ども! まとめてかかってこい!」
上空では三つ目の鴉・クロが羽ばたきながら全体を見渡していた。額の第三の目で怨霊の動きを先読みし、鋭い鳴き声で仲間たちに指示を送る。時折、翼から黒い羽根を放って怨霊を攻撃していた。
「まったく、厄介な連中だ。だが花凜のためだ、手を抜くわけにはいかんな」
陰陽師たちは慌てながらも呪文を唱え始める。「急々如律令!」の声が響き、呪符から青白い光が放たれた。しかし封印から解放された怨霊の数は多く、陰陽師たちの力だけでは追いつかなかった。
神殿の警備に当たっていた警察隊は、剣を抜きながら民衆の前に立ちはだかった。
「こちらへ! 安全な場所まで誘導します!」
隊長の声が響く中、人々は泣き叫びながら出口へと向かっていく。
「清真さま、花凜さま」
混乱する危機の中で、葵が花凜の元に駆け寄った。確かな足取りで、人々の動揺など意に介さない様子だった。怨霊が飛び交う神殿内でも冷静さを保っている。
「失礼します、花凜さま。先程から様子がおかしかったので、心配しておりました」
「私は、医術に心得がありますので、お身体を拝見させて頂けますでしょうか」
葵は花凜の症状をいろいろ見ていたが、はっと気づいたように顔色を変えた。彼女の瞳に浮かぶ翳り、唇の不自然な蒼さ。指先から漏れる不安定な霊力の波動。彼は、その全てが意図的な仕業だと悟った。
「花凜さま、……これはおそらく呪毒です」
葵の声には、隠しきれない怒りが潜んでいた。そして月宮家に長年仕え、主を守るために学んだ知識が、彼に確信を与えていた。
