高校二年生、秋。

私は男友達の相馬(そうま)と将来のことを話していた。



「はぁ、私達将来何になってるのかな?」



「幸せになってるだろ」



「いや相変わらず前向きだな!?私が聞いたのは職業的なやつだよ!」

「とりあえず何かの世界一位にはなりたいかな」

「図々しっ!」

「だって、まだ未来なんて誰にも分からないだろ?」

「そうだけど……」

下を向いた私の顔を相馬が覗き込む。

沙希(さき)は何になりてぇの?」

「まだ決まってない……」

「オッケー、つまり可能性は無限大って訳だな」

「言い方が最高すぎるんだけど!?」

「だろ?」

「でも私、分かってるもん」

「何を?」

「もう高校生だよ?私だって自分に特別な才能がないこと位分かってるよ」

「お前、アホだな」

「急に何!?」

「生きてるだけで特別だわ」

「格好良すぎるわっ!」

そんな相馬の底抜けの明るさを見習いたいとも思ってしまう。

「でも私たまに思うんだ。将来ちゃんと笑えてるかなって」

「それは絶対大丈夫」

「何で?」

「沙希が元気なかったら、俺が励ますもん」

「いいやつすぎない!?」

「俺も俺が格好良過ぎて惚れそう」

「そこまでは言ってないわ!」

「相馬はなりたいもの決まってないの?」

「あー、沙希の旦那にはなりたいかも」

「は!?」

「ああ、待って。勢いで言っちゃったけど、今度ちゃんと告白するから聞かなかったことにして」

「出来るか!」

「沙希の家の今日の夕飯何?」

「話の変え方下手過ぎない!?」

相馬が誤魔化したがっているので、私は動揺した頭のまま、とりあえず一旦流してあげることにした。

それでも相馬の誤魔化しのあまりの下手さについ笑ってしまう。

「でもなんか本当に幸せになれる気がしてきたわ」

「俺がいるから?」

「違うわ!」

「でも俺、実際幸せになれる気しかしないわ」

「何で?」






「沙希が笑ってくれたから」






「もう私、付き合うわ」







今日も明日も未来もきっとみんな幸せに過ごしたいだけ。

本当にそれだけなんだと思う。

だから何が幸せかは人それぞれなら、君と一緒にいれる未来を選びたい。

明日は私が笑顔にしてあげるんだ。



fin.