今日は、珍しく月は雲に隠されており、本来なら月光が差し込むはずのミーシャの部屋も、今日は真っ暗だった。
皇妃のみが入ることを許された書斎。グレースはねむりについていた。
いつもなら眠りにつく時間も、ミーシャにとっては一人きりの時間だった。
「計画は完成した。けれど。もしバレた時にどうしたらいいのかしら」
夜に眠らなくても疲れないのは、ヴァンパイアの血。
異常な生命力。
怖い。自分が今からしようとしてしまうことは、間違いなく帝国の名を傷つける。
だけど、今自分がやれることはこれくらいしかない。
自分の無力を呪って溜息が出た。
コンコン
その時、小さなノック音が響いた。基本的には皇妃のみが入る部屋。
なのにも関わらずノックをしてくるのは、あの人しかいない。
「どうぞ。」
口から発せられた声は、思ったよりずっと掠れていて、少しだけ上擦っていた。
扉を開けたのは、予想通りの人物−オリファーだった。
「なんで、来たの・・・?こんな遅い時間に。もう、来なくていいよ。」
弱音を吐いたら泣いてしまいそうになって、思わず上を向いて、涙を堪えた。
「・・・ミーシャが1人で泣いてると思ったから。」
「え?何のこと・・」
言いかけて、ミーシャは気づいた。自身のほおが、冷たくぬれていることに。
皇妃のみが入ることを許された書斎。グレースはねむりについていた。
いつもなら眠りにつく時間も、ミーシャにとっては一人きりの時間だった。
「計画は完成した。けれど。もしバレた時にどうしたらいいのかしら」
夜に眠らなくても疲れないのは、ヴァンパイアの血。
異常な生命力。
怖い。自分が今からしようとしてしまうことは、間違いなく帝国の名を傷つける。
だけど、今自分がやれることはこれくらいしかない。
自分の無力を呪って溜息が出た。
コンコン
その時、小さなノック音が響いた。基本的には皇妃のみが入る部屋。
なのにも関わらずノックをしてくるのは、あの人しかいない。
「どうぞ。」
口から発せられた声は、思ったよりずっと掠れていて、少しだけ上擦っていた。
扉を開けたのは、予想通りの人物−オリファーだった。
「なんで、来たの・・・?こんな遅い時間に。もう、来なくていいよ。」
弱音を吐いたら泣いてしまいそうになって、思わず上を向いて、涙を堪えた。
「・・・ミーシャが1人で泣いてると思ったから。」
「え?何のこと・・」
言いかけて、ミーシャは気づいた。自身のほおが、冷たくぬれていることに。



