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シャーロットは社交的で甘え上手な性格を活かして、貴族の中でもトップクラスの、ウィステリア家の第一令息であるサミュエル殿下に見初められた。
婚約したという報告は手紙をもらったけれど、そのあとは知らない。糸が切れるかのようにぷつんといきなりシャーロットとの文通だけでなく関係自体も全て切れてしまったから。

シャーロットは、たぶん私のことがあんまり気に入っていなかったのだと思う。
幼い頃から話しかけてくることもなかった。
いくらお母様に、私のことを「お姉様」か、「姉上様」と呼びなさいと言われていたのにも関わらず、私を呼ぶ名前はいつもミーシャって呼び捨てだった。


きっと、シャーロットは打ち明けたんだろう。サミュエル殿下に。
もっと広められないことを願うばかりだった。