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紅月の令嬢、もしくは令息が親の人は、必ずその血を受け継ぐ。
なのにも関わらず、ミーシャの一つ年下の妹であるシャーロットはその血を受け継がなかった。

産まれてきた時は、誰もが黒髪で紅い目だと思っていた。
けれど、違った。シャーロットは、ハニーブロンド色の髪に、サファイアブルーの目をしていた。

なぜ、血を継がなかったのか___________

原因はわからない。
だけど、そのことで良くシャーロットに揶揄されたのはハッキリと覚えている。

ヴァンパイアは基本的に恐れられることが多い。なにせ、人の血を吸うと言われてきたのだから。
だから、シャーロットは自分がヴァンパイアにならなかったことを心から喜んでいた。

羨む気持ちはあった。だけど、仕方がなかった。
シャーロットがヴァンパイアにならなかったのは事実だし、両親はシャーロットがヴァンパイアでないことをすごく喜んでいた。

両親は、紅月の令嬢を産んでしまった罪悪感と、バレたら大変と言う気持ちから、ミーシャのことを公に晒さなかったし、あまり社交界にも出さなかった。
ヴァンパイアに生まれてしまったのは自分のせいではないのに、なぜか胸が痛かった。

だから、そのぶん両親はシャーロットに期待をした。

貴族が通う学校と言ったら、一般的にはノエルリージュ学園だ。
だが、シャーロットはすごくお金がかかるハイレベルな学校であるネージュスクールに入学させてもらっていた。

ノエルリージュは、一応共学だけど男子校と女子校で分かれていて、クラスも女子と男子に分かれている。
他の学校もそれが一般的だった。

だが、ネージュスクールは完全的な共学校で、結婚相手を見繕うために作られた学校で、寮も女子と男子で同じ部屋になっている。
私はその学校に通わせてもらえなかった。なぜなら、一緒に生活をしてつねに一緒にいるのなら、いつ正体がバレてもおかしくないと両親が判断してからだった。

それは仕方のないことだ。なのに、シャーロットばかり環境を整えてもらえるのが羨ましかった。
仕方ないと分かっているのにシャーロットを羨んでしまう私が未熟だと思いながら。