オリファーは、私の背中を撫でながら必死に(なぐさ)めてくれているけれど、全然耳に入ってこない。

ずっと前から、絶対に本性を出さないって決めていたのに・・・。
自分のメンタルの弱さが嫌になる。


「私は・・・っやっぱり、皇妃には相応(ふさわ)しくな・・・」

そこまで言ったところで、堪えきれない嗚咽が漏れる。

ボロボロと涙がこぼれて、鼻の奥がツーンと痛い。

「君は、どんな姿でもいい」

放たれた言葉。オリファーは、血のように赤い夕焼けの方を見つめながら言葉を紡ぐ。

「君がもし、この姿が人間じゃないというのなら・・・僕も人間を捨てるから。君についていくから」

「え_____?」

「だから、1人きりなんて思わないでほしいんだ。僕は君のことを愛してるから、だから・・・・君と一緒に
人間を捨てたっていい。構わないさ。」

「でも、だけど・・・・・・」

言いたいことは言葉にならず、頭の中で泡粒になった。

視界が歪む。頭が混乱する。手足が震える。
・・・誰にも迷惑はかけたくない。