「・・・ん・・・?」

わずかにまぶたを持ち上げると、真っ白い天井が見えた。
肌に感じるのはふわふわとした寝間着(ねまき)

皆の前で倒れてしまったのだと思い出し、慌てて起きあがろうとして・・・。
その体はどうしようもなく重かった。

「ミーシャ・・・・」

オリファーの声が聞こえて、ミーシャはゆっくりとその声の方へ目を向ける。
じっとりと汗でぬれた首筋が熱い。

「オリファー・・・私、倒れてしまったのね・・・・」

つぶやくように言って、ミーシャは天井を見上げる。
窓から差し込む月光は、鋭く青白かった。

「ミーシャ。君は・・・僕に何かを隠している?」

その声は、硬かった。
目に宿る光は怒ってはいない。だけど、やるせない気持ちを持つかのように、光っていた。

「いえ、何も・・・・・」

首をふろうとして、気づいた。
オリファーが自身の手を強く握っていることに。

「でも君は、会場で倒れた。顔色は驚くほどに悪かった。そして・・・・」

オリファーは一度唾を飲み込むと、慎重に言葉を紡いだ。