シャンデリアで照らされた会場。

花瓶の中、咲き乱れあふれんばかりの香りを放つ花々。
会場をふんわりと包み込む香水の匂い。
湯気を立てる食べ物から香る、香ばしい匂い。

全てがミーシャの吐き気を鋭く攻撃した。

すぐに駆け寄ってきた者たちは、その顔に華やかな笑みを浮かべて話しかけてきた。

「皇妃さま、ごきげんよう。私は・・・・」

すぐさま始まる自己紹介も、ミーシャの耳には届かない。

ぐらりと視界が真っ黒に染まった。

(いけない・・・!)

心は思いっきりそれを拒否していた。
けれど、
体が抗えるはずがない。

小さな華奢な体はゆっくりとゆっくりと傾いていき・・・。
冷たい床に伏せった。