(でも、いまさら私にホンモノの命が宿るなんて・・・どうしたら・・・?)

混乱しそうな頭を懸命に働かせつつ、よろよろと鏡の前に立つ。
少しだけやせてしまった鎖骨と、青白い顔色が自身の体調不良を表していた。

(どうしよう・・・?でも、この子は産みたい・・・)

なんて葛藤していたら、ガチャっとドアの開閉音がした。

「ミーシャさま、お食事を・・・」

その直後、ふわっとスープのような香りが香った。

(ぅっ・・・・)

匂いに敏感になっている。最近、香水もつけられないし、好きだった葡萄(ぶどう)の蜜菓子も、見ただけで気分が悪くなる。

「ミーシャさま・・・?」

「いえ、なんでもないわ。食事は下げてくださらない?今日は、要りませんわ。」

「え?でも、ミーシャさまのお身体が・・・・」

「たぶん、風邪でも引いてるんだと思いますわ。ですから下げて頂戴」