そして日は過ぎ、待ちに待った婚活パーティー……もとい社交パーティー。
会場に入ると本当に大規模パーティーでさすがにちょっと怯んでしまった。今まで参加した社交パーティーがちっぽけに見えてしまう。
妃月は白と金のドレス。御曹司に自分が花嫁だとアピールするためとウェディングドレス姿も想像しやすいだろうと安直な考えだ。
対して椿は先日の晩餐会で祖父母が贈った着物。
高級な着物とあって見劣りはしないだろうが椿の顔が貧相すぎて似合わない。
更に会場にいる女性たちは見渡す限り、全員ドレスだった。
つまり着物は椿一人だけで空気を読めないとさぞ笑い者だろう。
祖父母からは「二人で参加」が絶対条件だった。椿に体調でも壊されては参加ができないと、自分の大事な将来のためと、パーティーまでは手を出さなかった。
椿にはいくつかの命令を下した「花京院の御曹司には近寄らないこと」「自分の引き立たて役になること」「目立たないこと」など、あとは状況に応じて命令することにした。
しばらくすると主催者である花京院財閥の現当主からの挨拶。
(素敵……お爺様のおっしゃるとおり男前だわ。三十代後半くらいの若さ。実際はお父様と同じくらいだっけ……)
挨拶が終わったものの、御曹司たちの紹介はしなかった。
これではわからないではないかとイラついた。
花京院当主に挨拶しつつ、それとなく聞こうとしたのだが花京院当主の周りに人が集まり挨拶どころではなくなった。
人が散るまで待つしかない。
振る舞いは優雅にしつつ、扇子で顔を隠しながら目はキョロキョロして御曹司らしい人物を探す。
自分の魅力なら探さずとも向こうから声を掛けてくるはずだが、一応だ一応。
「お前は御曹司を探してきなさい」
「えっ!」
ずっと下を向きながら壁化する椿に命令を出すがオロオロしてまったく役に立たない。
周りを見ると若い女性はドレスや装飾品からも気合いが入っているようにみえる。
御曹司狙いだろう。
(ふんっ。無駄な努力だこと……。花京院当主の似ている方はっと……)
「お嬢様さん、お一人ですか?」
男性の声に「まさか御曹司ぃぃ!!」と振り返るとちょっとタレ目のイケメンの若い男性。二十代くらいだろうか。
「ええ…そうですわね」
ニコッと微笑む。
(ほら、たくさんのゴミ共から私という穢れなき美しい宝石を見つけてくださったわ!)
心の中で勝利を確信した。
「僕は箕輪恵介《みのわけいすけ》と申します。あなたは?」
(……ハァ?……こいつ花京院の御曹司じゃないのかよォォォ!)
口も悪くなり一気に冷めた。
「おや?着物の女性はお知り合いで?」
「……私、失礼しますっ」
箕輪が妃月にいる椿にやっと気がついた。
椿はハッとし邪魔しないようにとその場から離れた。
(あの役立たず!!御曹司じゃないってわかったのなら上手く引き離しなさいよね!あとでただじゃおかないんだから!)
「とてもお綺麗ですね。会場に入ってこられた時から声を掛けくてウズウズしていましたよ」
「まぁ、ありがとうございます。私なんてたいしたことございませんわ」
(綺麗なのは当たり前よ!ってか、早くどっか行きなさいよね!アンタみたいな雑魚は眼中にないの!)
「すみません、喉が渇きましたわ」
「お飲み物を持ってきますね。シャンパンでよろしいですか?」
「私は未成年ですからジュースで」
箕輪は飲み物を取りに離れた。
「ふぅ。変なのに絡まれてしまったわ。美しすぎるのも困ったものね。さて……」
また顔を隠しながら御曹司を目で探す。
(あら?)
妃月が目に入ったのは袴の男性。
後ろ姿しか見えないがなかなかの長身。
(椿みたいに空気読まない馬鹿もいるのね)
中年や年配の男性は着物の者もいるが若い男が着物は浮く。
(人集りができてるわね。なにかしら?)
目を細めながら観察するカップルがいた。
モデル級の長身でスラッとした美男美女。
(もしかしてあれが花京院の御曹司!たしか次男は婚約者がいるっておっしゃっていたからあの女が?)
花京院の次男らしき男性の婚約者女性は立ち振舞だけで後退りしたくなるほど非の打ちどころがない美女。さすがに負けたと感じた。
(次男って確証はないけれど…次男なんて今はどうでもいいわ)
このパーティーは立食式なので料理がある方をみた。
(うわぁ……)
地べたにあぐらをかきながら座る小学生の男の子がガツガツと汚く食べていた。
(躾のなってない子供ね。親の顔が見てみたいものだわ)
ふと花京院当主の方をみると当主と若い男性が話しをしている。その男性は当主の面影があるほどキリッとしたイケメン。
見た目は妃月と同じくらいだろうか?
(やっと見つけたわ!!)
妃月はさっそく挨拶がてら御曹司を紹介してもらおうと近づく。
会場に入ると本当に大規模パーティーでさすがにちょっと怯んでしまった。今まで参加した社交パーティーがちっぽけに見えてしまう。
妃月は白と金のドレス。御曹司に自分が花嫁だとアピールするためとウェディングドレス姿も想像しやすいだろうと安直な考えだ。
対して椿は先日の晩餐会で祖父母が贈った着物。
高級な着物とあって見劣りはしないだろうが椿の顔が貧相すぎて似合わない。
更に会場にいる女性たちは見渡す限り、全員ドレスだった。
つまり着物は椿一人だけで空気を読めないとさぞ笑い者だろう。
祖父母からは「二人で参加」が絶対条件だった。椿に体調でも壊されては参加ができないと、自分の大事な将来のためと、パーティーまでは手を出さなかった。
椿にはいくつかの命令を下した「花京院の御曹司には近寄らないこと」「自分の引き立たて役になること」「目立たないこと」など、あとは状況に応じて命令することにした。
しばらくすると主催者である花京院財閥の現当主からの挨拶。
(素敵……お爺様のおっしゃるとおり男前だわ。三十代後半くらいの若さ。実際はお父様と同じくらいだっけ……)
挨拶が終わったものの、御曹司たちの紹介はしなかった。
これではわからないではないかとイラついた。
花京院当主に挨拶しつつ、それとなく聞こうとしたのだが花京院当主の周りに人が集まり挨拶どころではなくなった。
人が散るまで待つしかない。
振る舞いは優雅にしつつ、扇子で顔を隠しながら目はキョロキョロして御曹司らしい人物を探す。
自分の魅力なら探さずとも向こうから声を掛けてくるはずだが、一応だ一応。
「お前は御曹司を探してきなさい」
「えっ!」
ずっと下を向きながら壁化する椿に命令を出すがオロオロしてまったく役に立たない。
周りを見ると若い女性はドレスや装飾品からも気合いが入っているようにみえる。
御曹司狙いだろう。
(ふんっ。無駄な努力だこと……。花京院当主の似ている方はっと……)
「お嬢様さん、お一人ですか?」
男性の声に「まさか御曹司ぃぃ!!」と振り返るとちょっとタレ目のイケメンの若い男性。二十代くらいだろうか。
「ええ…そうですわね」
ニコッと微笑む。
(ほら、たくさんのゴミ共から私という穢れなき美しい宝石を見つけてくださったわ!)
心の中で勝利を確信した。
「僕は箕輪恵介《みのわけいすけ》と申します。あなたは?」
(……ハァ?……こいつ花京院の御曹司じゃないのかよォォォ!)
口も悪くなり一気に冷めた。
「おや?着物の女性はお知り合いで?」
「……私、失礼しますっ」
箕輪が妃月にいる椿にやっと気がついた。
椿はハッとし邪魔しないようにとその場から離れた。
(あの役立たず!!御曹司じゃないってわかったのなら上手く引き離しなさいよね!あとでただじゃおかないんだから!)
「とてもお綺麗ですね。会場に入ってこられた時から声を掛けくてウズウズしていましたよ」
「まぁ、ありがとうございます。私なんてたいしたことございませんわ」
(綺麗なのは当たり前よ!ってか、早くどっか行きなさいよね!アンタみたいな雑魚は眼中にないの!)
「すみません、喉が渇きましたわ」
「お飲み物を持ってきますね。シャンパンでよろしいですか?」
「私は未成年ですからジュースで」
箕輪は飲み物を取りに離れた。
「ふぅ。変なのに絡まれてしまったわ。美しすぎるのも困ったものね。さて……」
また顔を隠しながら御曹司を目で探す。
(あら?)
妃月が目に入ったのは袴の男性。
後ろ姿しか見えないがなかなかの長身。
(椿みたいに空気読まない馬鹿もいるのね)
中年や年配の男性は着物の者もいるが若い男が着物は浮く。
(人集りができてるわね。なにかしら?)
目を細めながら観察するカップルがいた。
モデル級の長身でスラッとした美男美女。
(もしかしてあれが花京院の御曹司!たしか次男は婚約者がいるっておっしゃっていたからあの女が?)
花京院の次男らしき男性の婚約者女性は立ち振舞だけで後退りしたくなるほど非の打ちどころがない美女。さすがに負けたと感じた。
(次男って確証はないけれど…次男なんて今はどうでもいいわ)
このパーティーは立食式なので料理がある方をみた。
(うわぁ……)
地べたにあぐらをかきながら座る小学生の男の子がガツガツと汚く食べていた。
(躾のなってない子供ね。親の顔が見てみたいものだわ)
ふと花京院当主の方をみると当主と若い男性が話しをしている。その男性は当主の面影があるほどキリッとしたイケメン。
見た目は妃月と同じくらいだろうか?
(やっと見つけたわ!!)
妃月はさっそく挨拶がてら御曹司を紹介してもらおうと近づく。



