✱✱✱✱✱
妃月はじっと放課後を待った。
本当は椿を送る頼久目当てだったのだが、昨日の放課後のことを母親に愚痴ると母親は発狂。
「娘より幸せになろうとするな穢らわしいぃぃぃっ!!」など叫びまくる。
八つ当たり相手の椿がいないので片っ端から物を投げる壊す、あげくには使用人を殴るなどの騒動に発展し眠れず、間に合わなかった。
昨日と同じなら椿の迎えに来るはず。
連絡先を知らない以上、頼久と接触できるチャンスを逃せないのだ。
(あいつにああは言ったものの、あいつは言った事もまともに出来ない馬鹿でノロマ…期待はしていないわ。次はお爺様にお願いしてお見合いのセッティングしていただこうかしら)
妃月には「水仙の姫君」と呼ばれ讃えられるほどの自信とプライドがあった。
ついに放課後。
廊下の窓から頼久が待っているのを確認。ついでに三男の頼朝の姿はない。
「よし!」と小さくガッツポーズし、ルンルンとご機嫌に頼久の元へ向かう。
「ごきげよう、頼久様」
「………」
チラッと妃月を目を向けるがすぐに校舎側に目を戻す。昨日と同じだ。
唇を噛むが昨日今日では気持ちが変わらないのは致し方ない。
「椿は今日は委員会に出席しているはずですので遅くなると思いますわ」
「知っている」
椿の姿を一瞬でも逃したくないのか校舎から目を逸らさない。
「椿は偉い子ですわよね〜汐倉家の誇りですわ」
褒めたくはないが頼久の気を逸らすためだ。
「……………」
頼久は椿の事情を知った。だからこそ妃月の心がこもっていない言葉はなんとも思わない。
「お前は水仙の姫君とか言っていたな」
頼久が自分にやっと興味を持ったかと歓喜し頷く。
「はいっ。姫君なんて大袈裟かと思いましたが名に恥じぬように努めてまいりましたわ」
「水仙の花言葉を知っているか?」
「花言葉ですか?花言葉なんて頼久様はとてもロマンチストなんですね」
「…水仙の花言葉は"自己愛”……"うぬぼれ”なんだそうだ。名付けた奴は天才だな。ここまで的を得ているとは」
頼久は妃月を軽蔑するような冷たい眼差しを向けると妃月は後退る。
「き、今日は茶道のお稽古がございましたわ。しし失礼いたします」
逃げるように立ち去る。
(この私がうぬぼれているですって!なんでよ…なんで…お爺様もお婆様も頼久様も椿、椿って…なんで椿ばかり愛されるの!私が椿に劣るはずわけない!私の何が駄目だって言うの!)
妃月はじっと放課後を待った。
本当は椿を送る頼久目当てだったのだが、昨日の放課後のことを母親に愚痴ると母親は発狂。
「娘より幸せになろうとするな穢らわしいぃぃぃっ!!」など叫びまくる。
八つ当たり相手の椿がいないので片っ端から物を投げる壊す、あげくには使用人を殴るなどの騒動に発展し眠れず、間に合わなかった。
昨日と同じなら椿の迎えに来るはず。
連絡先を知らない以上、頼久と接触できるチャンスを逃せないのだ。
(あいつにああは言ったものの、あいつは言った事もまともに出来ない馬鹿でノロマ…期待はしていないわ。次はお爺様にお願いしてお見合いのセッティングしていただこうかしら)
妃月には「水仙の姫君」と呼ばれ讃えられるほどの自信とプライドがあった。
ついに放課後。
廊下の窓から頼久が待っているのを確認。ついでに三男の頼朝の姿はない。
「よし!」と小さくガッツポーズし、ルンルンとご機嫌に頼久の元へ向かう。
「ごきげよう、頼久様」
「………」
チラッと妃月を目を向けるがすぐに校舎側に目を戻す。昨日と同じだ。
唇を噛むが昨日今日では気持ちが変わらないのは致し方ない。
「椿は今日は委員会に出席しているはずですので遅くなると思いますわ」
「知っている」
椿の姿を一瞬でも逃したくないのか校舎から目を逸らさない。
「椿は偉い子ですわよね〜汐倉家の誇りですわ」
褒めたくはないが頼久の気を逸らすためだ。
「……………」
頼久は椿の事情を知った。だからこそ妃月の心がこもっていない言葉はなんとも思わない。
「お前は水仙の姫君とか言っていたな」
頼久が自分にやっと興味を持ったかと歓喜し頷く。
「はいっ。姫君なんて大袈裟かと思いましたが名に恥じぬように努めてまいりましたわ」
「水仙の花言葉を知っているか?」
「花言葉ですか?花言葉なんて頼久様はとてもロマンチストなんですね」
「…水仙の花言葉は"自己愛”……"うぬぼれ”なんだそうだ。名付けた奴は天才だな。ここまで的を得ているとは」
頼久は妃月を軽蔑するような冷たい眼差しを向けると妃月は後退る。
「き、今日は茶道のお稽古がございましたわ。しし失礼いたします」
逃げるように立ち去る。
(この私がうぬぼれているですって!なんでよ…なんで…お爺様もお婆様も頼久様も椿、椿って…なんで椿ばかり愛されるの!私が椿に劣るはずわけない!私の何が駄目だって言うの!)



