右京に着物を運んでもらうため、椿は席をはずした。

「兄貴……」
今まで黙っていた頼朝が口を開く。
「これでわかっただろう。他の女共とは違うって、椿は純粋なんだ」
惚気はじめた頼久。
「これからどうするんだよ。父親もクズだが母親と姉もクズカスだ。オレにストーカーしていた女と同じように粘着するぞ」
椿の両親…正確には妃月の両親と姉の妃月が黙るとは思えないと感じていた。
頼朝が口が悪く捻くれた原因となったストーカー女と妃月は同じ匂いをしていた。

「殺ってしまいましよう」
「姉貴に同意っス」
部屋の端で椿の話を聞いていた左京と椿の荷物を運び終えた右京。
右京の手にはチェーンソーと背中にはデカい斧。
左京は片手に血のついた釘バッド、もう片手には鎖鉄球を持っていた。

「へへっ、乗ったぜ」
頼朝はニヤリと悪魔のように笑う。
「待て待て、やめろ」
頼久が止めるが頼朝、左京右京の殺る気の圧が強い。

「汐倉家は歴史ある茶道家だ。いくら花京院といえど勝手なことはできん」
「親父に協力要請しようぜ。あと直純の兄貴にも。親父も直純の兄貴も穢らわしい人間は大嫌いだろ。駄目ならオレ個人で殺る」
「私たちも」
「うんうん」
左京右京は椿を想っているが頼朝は汚い人間が嫌いなことと面白そうだからが理由だろう。

頼久は三人の説得を続けた。