「花京院様とお話しされている、あの方はどうなさったのかしら」
「美しい方ですからご好意を持たれたのではないかしらね」
「笑っている殿方は…?」
妃月は周りに聞こえていると思い込み、頼朝に馬鹿にされたことも含めて赤面していたが、実際は妃月の会話は聞こえない距離にいる。
「椿!」
嬉しそうに椿を抱擁する頼久。
椿は気まずそうな雰囲気を察し、こっそりと近づいていた。
妃月は頼久たちに見えないように椿を睨みつけ「わかっているな」と圧を送る。
椿の目がビクッとしたのを頼朝と左京は見逃さなかった。
「よ、頼久様。妃月様が水仙の姫君と呼ばれているのは本当です。妃月様の着雅な作法は女の私でも惚れてしまうくらいでして…私なんかより妃月様の方が………」
妃月を褒めながら自分と比べ自己嫌悪に落ち込む椿。また下を向いてしまう。
「……妃月様ねぇ。お姉様じゃねぇんだ」
ボソッと呟く頼朝。
「ほら本人も言ってるじゃないですか。私に別れたいって伝えないと…期待させては無礼ですわ」
「………はい」
ネガティブ思考になった椿は妃月のいう通りだと努力しても無意味だと思い込んだ。
頼朝が椿の腕を乱暴に引っ張り、車に押し込む。
「頼朝様、あの…」
椿を後部座席に押し込む。
頼久、左京右京と続いて車に乗り込んだ。
妃月はポカンとし、「よ、頼久様!お待ち下さい!お話しを!」と車に近づくが妃月を無視し発進。
(椿…頼久様を説得しなきゃ許さなくてよ!)
心の中で叫びながら振り向くと女子生徒たちが妃月を哀れんでいた。
ヒソヒソと話す声に耳を傾ければ「可哀想」「花京院様に失礼なことされたのかしら〜クスクスッ」と言われ放題。
「お騒がせ致しましたわ…失礼致します」と優雅に一礼し、そそくさと帰ることにした。
一方、花京院家の車の中では全員が無言だった。
頼久の屋敷に着くと「着替えてリビングまでこい」と告げ、家の中に入っていく頼朝。
何か怒らせることをしたのかとオロオロする椿。
すると頼久がポンと肩を叩き、屋敷へ。椿と左京右京も続く。
自室で制服を脱ごうとした時、ドアノック。左京だ。
「椿様、お着替えのお手伝いに参りました」
「制服くらい一人で大丈夫ですよ。ありがとうございます」
「それと手当てを……」
左京はスッと椿の頬を撫でる。
女性ながらかっこいい左京にドキッとしてしまい、断れなかった。
「ん……」
「あっ………」
制服のワイシャツを脱いだ時、妃月や妃月の母親にお仕置きされた痣や傷をみられてしまった。
新しい痣から古傷まで制服から見えない場所に多数あった。
パーティー前後はビンタ程度だったのですっかり油断していた。
「美しい方ですからご好意を持たれたのではないかしらね」
「笑っている殿方は…?」
妃月は周りに聞こえていると思い込み、頼朝に馬鹿にされたことも含めて赤面していたが、実際は妃月の会話は聞こえない距離にいる。
「椿!」
嬉しそうに椿を抱擁する頼久。
椿は気まずそうな雰囲気を察し、こっそりと近づいていた。
妃月は頼久たちに見えないように椿を睨みつけ「わかっているな」と圧を送る。
椿の目がビクッとしたのを頼朝と左京は見逃さなかった。
「よ、頼久様。妃月様が水仙の姫君と呼ばれているのは本当です。妃月様の着雅な作法は女の私でも惚れてしまうくらいでして…私なんかより妃月様の方が………」
妃月を褒めながら自分と比べ自己嫌悪に落ち込む椿。また下を向いてしまう。
「……妃月様ねぇ。お姉様じゃねぇんだ」
ボソッと呟く頼朝。
「ほら本人も言ってるじゃないですか。私に別れたいって伝えないと…期待させては無礼ですわ」
「………はい」
ネガティブ思考になった椿は妃月のいう通りだと努力しても無意味だと思い込んだ。
頼朝が椿の腕を乱暴に引っ張り、車に押し込む。
「頼朝様、あの…」
椿を後部座席に押し込む。
頼久、左京右京と続いて車に乗り込んだ。
妃月はポカンとし、「よ、頼久様!お待ち下さい!お話しを!」と車に近づくが妃月を無視し発進。
(椿…頼久様を説得しなきゃ許さなくてよ!)
心の中で叫びながら振り向くと女子生徒たちが妃月を哀れんでいた。
ヒソヒソと話す声に耳を傾ければ「可哀想」「花京院様に失礼なことされたのかしら〜クスクスッ」と言われ放題。
「お騒がせ致しましたわ…失礼致します」と優雅に一礼し、そそくさと帰ることにした。
一方、花京院家の車の中では全員が無言だった。
頼久の屋敷に着くと「着替えてリビングまでこい」と告げ、家の中に入っていく頼朝。
何か怒らせることをしたのかとオロオロする椿。
すると頼久がポンと肩を叩き、屋敷へ。椿と左京右京も続く。
自室で制服を脱ごうとした時、ドアノック。左京だ。
「椿様、お着替えのお手伝いに参りました」
「制服くらい一人で大丈夫ですよ。ありがとうございます」
「それと手当てを……」
左京はスッと椿の頬を撫でる。
女性ながらかっこいい左京にドキッとしてしまい、断れなかった。
「ん……」
「あっ………」
制服のワイシャツを脱いだ時、妃月や妃月の母親にお仕置きされた痣や傷をみられてしまった。
新しい痣から古傷まで制服から見えない場所に多数あった。
パーティー前後はビンタ程度だったのですっかり油断していた。



